2002 Fiscal Year Annual Research Report
対処方略の固執を規定する心理・社会的要因とストレス反応に関する研究
Project/Area Number |
13610141
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩永 誠 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40203393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾関 友佳子 広島大学, 総合科学部, 助手 (30304372)
横山 博司 下関市立大学, 経済学部, 教授 (80158378)
|
Keywords | ストレス / 対処方略 / 対処の変動性 / 対処の柔軟性 / 役割期待 / 制御欲求 / タイプA行動 / 楽観傾向 |
Research Abstract |
ストレス低減を目的として行われる対処は,問題焦点型対処と情動焦点型対処の2種類がある。一般に問題焦点型対処が有効だといわれているが,それは制御可能な事態においてであり,制御不可能な事態では逆にストレスを増大させてしまう。制御不可能な状況では情動焦点型対処の方がストレス低減に有効である。ストレス事態の制御可能性に応じて,採用する方略を柔軟に変えることがストレス低減には重要であり,特定の対処採用に固執することは,柔軟な対処採用を阻害することになり,ストレスを増大させることにつながる。 本年度は,ストレス事態の種類と制御可能性を変えたシナリオを呈示し,その状況で採用する対処方略をもとに,対処採用の変動性がストレス反応に及ぼす影響について検討した。対処採用の変動性は,異なるストレス事態の種類および制御可能性間で採用される対処の差分の絶対値を加算することで求めた。対処方略の採用には,個人特性(タイプA行動,制御欲求,楽観主義)が影響していたが,対処採用の変動性は個人特性の影響を受けていないことが示された。ストレッサーを統制した重回帰分析を行ったところ,情動焦点型対処の採用と問題焦点型対処の変動性が,抑うつ疲労感を高め,職務満足を低下させることがわかった。また,情動焦点型対処を採用し,対人依存対処の変動性が少ないほど,身体的なストレス反応が高まることもわかった。これらの結果から,情動焦点型対処の採用は,一貫してストレス反応を高めることが明らかになり,従来の知見と一致する結果が得られた。また,対処の変動性については,問題焦点型対処の変動性が高いほど,対人依存対処の変動性が少ないほど,ストレス反応を高めることにつながり,対処方略の採用だけでなく,採用する対処方略が状況により変動することもストレス反応の喚起に影響していることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Iwanaga, M.他: "Coping availability and stress reduction for optimistic and pessimistic individuals"Personality and Individual Differences. (未定).
-
[Publications] 横山博司, 岩永誠(監): "ワークストレスの行動科学"北大路書房. 245 (2003)