2001 Fiscal Year Annual Research Report
組織における慣行的制度の変革が成員とチーム活動に及ぼす影響に関する実証研究
Project/Area Number |
13610144
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 久敬 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30190143)
|
Keywords | 年功序列 / 制度改革 / モチベーション / 創造的情報処理 / コンピテンシー |
Research Abstract |
1 「慣行的制度の変革」に底流する新しい原理と、それが持つ諸影響について理論的に整理した 我が国の多くの組織において、終身雇用や年功序列の見直し、評価システムの導入、成果や実績に基づく報酬分配の採用など、これまでの慣行的制度の変革が急速に進んでいる。これらには「短期化」、「成果重視」、および「個別評価」の3つの新しい原理が流れている。 いずれの原理も欧米型に近く、日本人には新しい。成員とチームの仕事の価値観と基準を揺るがし、知識とスキルの学習、相互サポート、視野の広がりなどに対して、従来には見られなかったインパクトを及ぼす(及ぼし始めている)と考えられる。そのインパクトは、成員の意欲と業績を強く刺激する"肯定的効果"を生む一方で、個人と組織との心理的契約を更新させ、個人やチームに考慮時間の短縮化、試行的・挑戦的行動の消失、相互協力への関心低下などの"副作用"を惹起させる可能性も持っている。 これらの問題について、モチベーション、リーダーシップ、態度および行動変容、社会的比較、評価と公正、報酬分配、ストレスなどの既存の理論と関連づけながら、理論的な整理を行った。 2 制度変革がもたらす「肯定的効果」について新しい指標を考案し、質問票調査をデザインした。 「肯定的効果」といえば、一般的には、新原理に対する成員の適応や受け入れが思い浮かべられるが、それでは不十分である。 新しい事態や課題に向かう(1)個人のモチベーションの高揚、(2)今後に必要な知識やスキルの学習の促進、そして(3)旧来の役割を超えた行動の顕在化などを包含する。あわせて、(4)チームとしての創造的情報処理や協力体制が考慮される必要がある。肯定的効果の新指標を考案し、質問票調査をデザインした。 また、新しい能力指標であるコンピテンシー(competency)の学習についても、理論的実践的なまとめを行い、刊行した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 浦 聖子, 古川久敬: "生徒のプロセス志向性および成果指向性が成績に関するフィードバックへの反応に及ぼす影響についての検討"九州大学心理学研究. 第3巻. 209-215 (2002)
-
[Publications] 古川久敬: "コンピテンシーラーニング"日本能率協会マネジメントセンター. 236 (2002)