2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610152
|
Research Institution | MIYAGI GAKUIN WOMEN'S COLLEGE |
Principal Investigator |
足立 智昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30184188)
|
Keywords | ユニークフェイス / 口唇裂口蓋裂 / 顔 / 視線 / 非言語 / 発達 / 対人コミュニケーション |
Research Abstract |
【目的】本研究は、容貌の障害(ユニークフェイス)で最も頻度が高い口唇裂口蓋裂者に見られる非言語的特徴が、発達のどのような過程で、またどのような原因で形成されるかを明らかにすることを目的とした。 【方法】被験者:5歳〜9歳、また12歳〜15歳の口唇裂口蓋裂児94名、およびこの疾患をもたない児童、生徒50名。 面接:9歳以下の被験者は母親が面接者となり、7分程度の面接をした。また、12歳以上の被験者は、発達心理学専攻の女子大学院生が面接者となり、15分程度の面接をした。面接は、半構造化面接法により行った。 撮影:面接者と被験者は、1.7mの距離を置いて、対面して椅子に座った。面接者の前に2台のカメラを設置し、1台は被験者の顔を、1台は被験者の上半身を撮影した。また、被験者の後ろに1台のカメラを設置し、被験者の頭越しに母親の全身を撮影した。 【結果】2名の心理学専攻の大学院生が、4-point Likert Scaleによって、被験者の鼻と唇の変形の程度、唇と顎の動きの不自然さ、視線逸脱の不自然さについて評定を行った。その結果、両評定者、いずれの尺度とも、口唇裂口蓋裂群の方が、対照群よりも有意に得点が高かった。また、視線逸脱の不自然さについて、さらに分析するために、面接中に生ずる視線逸脱め頻度やその長さについても測定を行った。しかし、これらの変数においては、両群間に有意な差は認められなかった。 【考察】本研究の結果は、口唇裂口蓋裂者の鼻の変形や唇の瘢痕などの審美的要因め他に、口唇部の動きや視線逸脱の不自然さも、彼らの対人コミュニケーションに影響を与えていることを示唆した。就学前後の児童から、不自然な対人コミュニケーション行動が観察されることから、発達の早い段階から、親や幼稚園(保育所)の教師などを含めた、総合的な心理社会的な介入が必要であると考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 足立智昭, 真覚健, 幸地省子: "口唇裂口蓋裂児の対人場面における視線逸脱行動"発達科学研究. 第3巻(印刷中). (2003)
-
[Publications] Adachi, T., Yamaguchi, T., Kochi, S.: "Characteristics of non-verbal behavior in patients with cleft lip and palate during interpersonal communication"Cleft Palate Craniofacial Journal. Vol.40 (in press). (2003)