2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610175
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
亀島 信也 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (90241108)
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Keywords | 共感性 / 行動分析 / 対人行動 / 集団教育 |
Research Abstract |
本年度は継続研究3年目の最終年度にあたる。申請した研究実施計画に基づき、幼稚園児の共感性を巡る質問紙調査データと、縦断的に測定された園児の観察行動データが併合されて組織的に分析された。 まず、2001年度に質問紙調査により収集されたものは、幼稚園教諭と保護者を対象とした園児の共感性に関する質問紙であり、3歳児92名と4歳児124名からのデータが報告された。この質問紙による検討からは、幼児の共感性のとらえ方の違いが報告された。すなわち、教諭が園児の行動面からとらえているのに対して、保護者は園児の情動面から判断しているという、評定者間の差が明らかにされた。 つぎの観察行動データは、3歳児と4歳児が継続年ではそれぞれ4歳児と5歳児になっている縦断データである上に、2種類の異なった場面設定で園児の行動が観察された。つまり、一方の場面では朝の自由遊び場面での対人行動が、また他方の場面では、中程度のストレスがかかるように設定された(お絵かき)場面での園児の対人行動が、時間標本法を用いて観察された。結果として、3歳から4歳へと進級した園児49名、4歳から5歳へと進級した園児62名の縦断的な対人行動データが得られた。 本研究は、質問紙による幼稚園教諭や保護者が報告する園児の共感性が、具体的な2年間の縦断的な対人行動データで裏付けられているのかを検討することを目的としている。質問紙に基づく保護者による子どもの共感性評定結果は、幼稚園での3歳児や4歳児の具体的な対人行動とは何ら関連が見受けられなかった。しかし教諭は、大人ではなく子どもへの視線行動や、物ではなく他児へと関心を方向付けて行動している4歳児に対して、高い共感性評価を与えていた。その他の縦断的な対人行動データとの関連を調べた共感性発達の詳細な報告は、近刊の研究報告書で明らかにされている。
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