2002 Fiscal Year Annual Research Report
多変量質的データの数量化と単純構造抽出技法に関する計量心理学的研究
Project/Area Number |
13610176
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
足立 浩平 甲子園大学, 人間文化学部, 助教授 (60299055)
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Keywords | 多変量カテゴリカルデータ / 数量化法 / 多重対応分析 / 斜交回転 / プロマックス回転 / オブリミン回転 / 適合度指標 / 正分類率 |
Research Abstract |
アイテム・カテゴリーデータの数量化法(多重対応分析)の解析結果の解釈を容易にするため、解の斜交回転法を提案した。すなわち、数量化法を正規化ダミー変数行列の低階数近似と位置づけると、その解が斜交回転の不定性をもつことに着目し、解釈指標となる変数×次元の行列が単純構造を持つように、次元を回転することを考えた。ここで、カテゴリーを変数と見なすか、アイテムを変数と見なすかによって、解釈指標の行列は2通りに分けられる。前者の場合には、各カテゴリーのデータベクトルと、個体スコアの第k次元のベクトルの余弦を解釈指標とする方法をとり、後者については、アイテムに該当する複数各カテゴリーのデータベクトルが張る空間と、個体スコアベクトルの最大余弦を解釈指標とする方法をとった。各解釈指標の行列の単純構造化のために、プロマックス法による回転を提案し、実データへの適用例から、次元の解釈が容易になることを確認した。また、アイテムを変数と見なすケースについては、オブリミン基準に基づく回転も考案した。以上の回転の基礎となる低階数近似アプローチは、主成分分析の定式化の一つであるが、このことに基づき、主成分分析のプログラムによって数量化法を実行できることも示し、両方法の関係の明確化にも寄与した。 以上の研究に加え、数量化法の解の適合度指標に関する研究をすすめた。有効な適合度の指標がない(正確に言えば、適合度は定義できても不当に低い値を示す)ことが数量化法の欠点であるが、この問題の解決を目指し、新たな指標として正分類率(CCR)を前年度に提案したが、本年度は系統的なシミュレーションによって、真の次元数の同定精度などの観点からの検討を行い、既存の固有値に基づく指標に比べ、CCRが有効であることを確認した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 足立浩平: "心理統計学と多変量データ解析"計算機統計学. 14・2. 139-161 (2002)
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[Publications] K.Adachi: "Optimal quantification of a longitudinal indicator matrix : Homogeneity and smoothness analysis"Journal of Classification. 19・2. 215-248 (2002)
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[Publications] 足立浩平(分担執筆): "心理統計の技法"福村出版,渡部洋(編). (32-43,216-229) (2002)
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[Publications] K.Adachi(分担執筆): "Measurement and Multivariate Analysis"Springer, S. Nishisato, Y. Baba, H. Bozdogan & K. Kanefuji(編). (47-56) (2002)
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[Publications] 足立浩平(分担執筆): "多変量解析実例ハンドブック"朝倉書店,柳井晴夫・岡太彬訓・繁桝算男・高木廣文・岩崎 学(編). (1-10) (2002)
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[Publications] 足立浩平(分担執筆): "認知科学辞典(統計学用語・9項目)"共立出版,日本認知科学会(編). (9) (2002)
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[Publications] K.Adachi(分担執筆): "New Developments in Psychometrics"Springer, H. Yanai, A. Okada, K. Shigemasu, Y. Kano & J.J. Meulman(編). (503-510) (2003)