2001 Fiscal Year Annual Research Report
文化のダイナミズム:日本における社会運動文化の歴史的比較研究
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13610187
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
野宮 大志郎 上智大学, 外国語学部, 教授 (20256085)
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Keywords | 文化 / 社会運動 / 日本近世近代史 / 比較 / 歴史 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、以下の三点である。 1、「文化のダイナミズム」についての社会運動をベースにした理論的考察: 「新しい社会運動」論、フレーム分析、レトリック論(心理学的アプローチ)などを中心として、社会運動の文化的研究が今後開拓すべき領野について理論的考察を行った。この結果、社会運動文化と運動概念そのものの再定義、支配と権力に対するより深い洞察、意味源泉や意味生産のプロセスへの理解の三点が、特に今後力を入れて考究すべき対象であることが判明した。なお本考察は二本の論文にまとめられ、2002年4月に刊行される書籍『社会運動と文化』に収録予定である。 2、調査活動・資料収集とその成果: 千葉県成田市、長野県飯田市と下伊那地方、岐阜県郡上白鳥町、広島県吉田町、福島県福島市などにて調査活動。この間、郷土史家など延べ約50人にインタビュー。博物館・歴史館などへの訪問延べ約15回。寺社や家屋など歴史的建造物調査延べ約15回。訪問先にて収集した史資料データの総計訳300点。 3、史資料の解読とその成果: 上記各地で行われたいくつかの社会運動の行動様式・動員などに関して、それらを結ぶ文化的・思想的結節点などを確認することができた。より具体的には、運動の動員(意味生産と支配の源泉の定義)に使用された「レトリック」や「言説」、またそれぞれ地域で運動が盛んであった時代の人々の「地域性」「時代性」「メンタリティ」「共同性意識」などを推測可能にする歴史的材料が確認できた。
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