2002 Fiscal Year Annual Research Report
在日外国人派遣勤務者のソーシャルストレスとキャリアに関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
13610196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
江川 緑 東京工業大学, 留学生センター, 助教授 (40251615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 喜比古 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10174666)
矢野 真和 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30016521)
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Keywords | 海外派遣勤務 / キャリア / 国際人的資源管理 / ストレス / 異文化適応・理解 |
Research Abstract |
これまで実施してきた海外派遣勤務者を対象とした調査では、日本人駐在員は海外滞在中にストレスが高く、その関連要因は、駐在開始前から存在する「帰国後の処遇・昇進に関する不安」であった。一方で、海外で勤務する欧米人の方が、本国出国前に同様の不安を日本人よりも多く経験し、かつ、海外滞在中も日本人に比べ強く感じていることが判明した。しかしながら、欧米人では、現地滞在中のストレスは総体的に低く、出国前から存在するこうした「帰国後の処遇・昇進に関する不安」の存在は、滞在中のストレスに関連していなかった。 これらの違いが生じる背景要因を検討するために、次の作業仮説を導いた。 1.企業・社会の国際事業・海外駐在に対する認識などという社会風土が現地でのソーシャルストレスを規定する。 2.キャリアに対する日本と欧米の考え方の違いが、ソーシャルストレスに反映している。 3.「帰国後の処遇・昇進に関する不安」に対するサポート体制・資源の違いがソーシャルストレスに反映されている。 とりわけキャリアに対する考え方の違いについての検討から、「処遇・昇進に関する不安」そのものの内容が、文献などでは同質のものと前提されていることが多いにも関わらず、日本人と欧米人ではその意味合いが異なる可能性がうかがわれ、改めてより詳細な分析を加える必要があると考えられた。 また、海外派遣勤務に伴う「移住」および「移住」に付随する現象への認識の違いが、キャリアに対する考え方とも結びついていることが示唆された。
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