2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神医療改革と権利擁護制度形成に関するアメリカ・カナダ・日本比較研究
Project/Area Number |
13610197
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 涼子 金沢大学, 法学部, 助教授 (80262541)
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Keywords | 神経医療 / 権利擁護 / アドボカシー / 地域支援 / 地域ケア / PACT / アメリカ合衆国:日本 / 脱施設化 |
Research Abstract |
アメリカ合衆国等の精神医療改革の展開について、クライエントの地域生活の続行を支援する多職種の医療専門職チームによる「訪問型の包括的地域支援サービス」(Assertive Community Treatment=ACT)に注目しつつ、資料収集と文献研究を行った。その上で、アメリカ合衆国において地域精神医療システムの先進地と言われるウィスコンシン州マディソン市にて現地調査を行った。行政担当者、法曹関係者から制度の説明を受け、ACTあるいはPACT(Program of Assertive Community Treatment)といった様々な地域ケアプログラムを提供しているプロバイダー関係者(医療専門職およびコンシューマー)にはその多様な活動についてインタビュー調査するとともに可能な範囲で活動に同行し、サービス提供の一端を実際に見ることができた。この調査によって多様なプログラムをもつ地域ケアシステムと患者の権利擁護(アドボカシー)との連関が確認できた。この正の連関の背景として、1.マディソン市が属するデーン郡の精神保健センターは地域ケア重視の方針のもと予算の約80%を配分していること、2.医療専門職間及び、医療関係者と法律関係者の間の連絡が密であり様々な協力態勢が組みやすいこと、3.連邦法及び州法に基づく権利擁護制度が根付き、施設内入院者の権利擁護だけでなくPACTのような地域サービスプログラムもクライアントの同意を得る手続きについて州の権利擁護機関から定期的に審査されること、等が確認できた。施設内処遇を受けている患者が地域ケアへと移行する際の法的制度としては、ウィスコンシン州におけるConditional Release(条件付き退院)制度及びその運用について資料を得たので、これについては来年度さらに研究したい。なおACTは施設処遇中心から地域ケアへの移行を目指す日本でも注目され、2004年度より国立精神・神経センターによるパイロットスタデイが行われるのでその動向に注目したい。
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Research Products
(1 results)