2001 Fiscal Year Annual Research Report
地域再生の時代における地域共同管理の主体形成過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
13610199
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 由彦 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (30170137)
|
Keywords | 地域社会 / 地域共同管理 / NPO / 地方分権 |
Research Abstract |
今年度の研究において得られた知見は、以上の3点である。 ・現代日本において地域社会は大きな変動期にある。第一に地域経済が厳しい状況に置かれている。地域経済の停滞が長期化するに伴って地方財政も悪化している。第二に、戦後日本において地域社会の構造や発展に基本的な枠をはめていた地方行政政策が大きく転換した、あるいは転換しつつある。第三に、既成秩序に異議申し立てする住民の集合的意志が地方政治において重要な意味をもちうることを示したことである。第四に、市民活動の興隆である。 ・このような状況下において、従来の国家主導型の地域開発は有効性を喪失し、新しい地域発展のモデルが模索され、あるいは各地において形成されつつある。その際、それぞれ地域は自前で地域発展の戦略を構築し、地域住民の間に合意を形成しなければならない。また発展のために具体的にどのような政策を実行していくかについても、新しい手法の開発・試行を含めて、地域の力量が問われることになる。 ・いま述べた課題に直面した地域社会がどのようにそれに向かっているかについては、大まかにいって3つのパターンがある。第一に事態の変化の速さについていけず、有効な手だてを打ち出せない地域、第二に首長主導型で脱官僚主導・分権型の地域構造の形成に向かっている地域、第三にNPOなどの新しい主体、地域の企業との連携を模索しながら、既存の行政のあり方を改革しようとしている地域、以上である。
|