2001 Fiscal Year Annual Research Report
発達疎外少年への教育福祉援助過程におけるキーパーソンの役割
Project/Area Number |
13610210
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岸 治男 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (40136768)
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Keywords | コミュニケーション / 受容感 / 情緒 / 人間関係 / 社会関係 / 自己役割 / 自己達成・肯定感 / 疎外感 |
Research Abstract |
本年度は、先行研究を手がかりに発達疎外状況の発生・展開過程について仮説をたて、仮説にそって事例の分析を試みた。そこから得られた知見は次の通りである。1)発達疎外状況は一般に親との関係形成過程の「もつれ」から発生する。2)親との間に望ましい「情緒」が繋げるか否かが最初のポイントになる。以下、3)親との間に繋いだ情緒身近な相手と「人間関係」を形成するか否か、4)一対一の人間関係から、集団との「社会関係」を発達させ得るか否か、5)社会関係において、正価値の「自己役割」を取得するか否か、がポイントになる。 各ポイントにおける最も重要な人物は一般に親であるが、2)の段階でそこにもつれが生じた場合、親と並んでこれを補足するキーパーソンが必要になる。従来は、親族内に該当者が現れるのが一般であったが、今日、それは殆ど期待できなくなっている。そこで、学校や地域社会の教育機能の強化が提唱されるようになったと考えられるが、現状では、これもなお不十分である。 問題を解決するには、地域社会が、少年を持つ親及びその家族を孤立・疎外状態化させない具体的で効果のある方途を「地域教育文化」として根づかせる必要がある。具体的には、自然や多くの他者との参加型交流活動に、自然な形で関わるような伝統を新たに構築する作業が必要である。 なお、以上の知見は、机上の研究のほか、少年院及び医療少年院の訪問、本報告書の筆者自身が関わったスクールカウンセリング(高校)及び地域における少年たちとの関わり等から得たところが大きい。
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Research Products
(1 results)