2002 Fiscal Year Annual Research Report
発達疎外少年への教育福祉援助過程におけるキーパーソンの役割
Project/Area Number |
13610210
|
Research Institution | OITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山岸 治男 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (40136768)
|
Keywords | 特化した第一次集団 / 一般の第一次集団 / 社会参加 / 役割遂行 / 社会的評価 / 自己肯定感 / 機関連携 / 調整・調節役割 |
Research Abstract |
平成14年度は、同13年度の研究仮説と成果に立ち、(1)発達過程に関する理論の精緻化(2)当該理論から見た発達疎外の発生過程の考察、(3)当該発生過程に照らした「発達疎外からの立ち直り支援」方法の提示、の3点を中心に研究を試みた。(1)及び(2)に関して要約すれば次の通りである。 1)発達の要因として、個体の身体的条件、発達環境条件、それらの相互作用の3点がある。先ず、身体的条件としての感覚・知覚を損ねない発達環境整備が問われる。 2)次に、豊かな情感・情緒を育む親子関係・家族関係・近隣関係づくりが問われる。 3)更に、特定の人間関係から、一般的な社会関係を形成するために社会参加を促し、社会性を豊かにし、社会的役割・責任を自覚する発達環境づくりが問われる。 4)その上で、自分の個性、実存、使命等を自覚する発達環境づくりが問われる。 ここから尊き出せる教育福祉援助方法の基本は、(1)自立した自覚ある親(世代)作り、(2)豊かな情感・情緒を育む親子関係等作り、(3)社会参加の促進と参加機会作り、(4)自由に思索し、反省する技術や技能の教育・学習、等として集約される。これらは日常生活の中で「教育文化」・「発達文化」として習慣化し定着させる必要がある。 発達疎外状態が確かめられる少年の援助の場合は、(3)を中心に、例えばキャンプ、調理、遠足等の具体的事業の実施過程において(2)や(4)の内容に触れることが重要になる。援助の核心は疎外状態を緩和し、豊かな情感・情緒、社会性、思索・反省力等を育むことにある。それには一般の第一次集団との交流が必要である。それには、教育・医療・福祉・司法の各機関や各専門職者のチームプレーが不可欠である。
|
Research Products
(2 results)