2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国・北京の都市空間構造に関する研究-市場経済下における社会主義都市の変容
Project/Area Number |
13610223
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
熊田 俊郎 駿河台大学, 法学部, 教授 (10195521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 重好 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50155131)
藤田 弘夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60156875)
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Keywords | 中国 / 社会主義都市 / 市場経済 / 都市空間構造 / 社区 / 単位 / 居民委員会 / 都市行政 |
Research Abstract |
1990年代以降中国の市場経済化が急進展し,このことは都市の空間構造にも変化をもたらしている。改革開放政策が社会の各側面に浸透する以前には公的な空間利用が私的生活領域まですべてを覆っていた。市場経済化後にたとえば政府機関施設を民間企業の広告に利用することに見られるように,空間利用のあり方が大いに変化した。また中国社会主義の特徴として,社会が単位制社会主義とも言えるほど企業・学校など,職・住・消費に加え教育・身分管理・社会保障などあらゆるものをワンセットにした<単位>を中心に運営されるモジュール構造をしていた。市場経済化は社会保障の外部化を目指すなど単位制の解体を進めている。これが都市部における地域組織の変化を余儀なくさせている。従来単位は,都市地域社会を構成する最小単位の自治組織である居民委員会に属さず,独自の人員管理,社会保障の機能を果たしていた。単位解体に伴い,地域社会が社会保障等の機能を代替する方向にある。そのためには従来の居民委員会では不十分なため,規模を拡大した社区居民委員会に改組を進めている。そこには単位の代表も社区に加わる制度が作られているが十分に機能しているとは言えない。現在移行の過渡期にあるといえる。中国は単なる経済発展に伴う経済活動の活発化という以上の物流・人流の拡大が見られる。それは単位という自己完結的生活空間のモジュール解体に伴って経済活動が単位の外部に広がり,すべてを市場に委ねる形に変わる。具体的には単位が住宅配分の機能を停止し,住宅市場が成立する。かつて同じ職場のものは単位所有住宅に集住していたが,それが分散居住し,逆に旧単位所有住宅の商品化に伴って単位外の住民が入ってくる。こうした変化は各種消費財についても起こっている。中国都市は空間的にも単位を基本とするモジュール構造を見せていた。市場経済化によってそれが解体しつつある。
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