2001 Fiscal Year Annual Research Report
市民セクター・NPOによる「公共的空間」の創造(市民的公共性の社会学的研究)
Project/Area Number |
13610228
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
高田 昭彦 成蹊大学, 文学部, 教授 (50102174)
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Keywords | NPOサポートセンター / 市民活動支援 / 公共的空間 / 政策提言 / 市民参加 / 環境NPO / 事業化 / ネットワーキング |
Research Abstract |
市民主導の「公共的空間」の担い手は、NPOサポートセンターである。そのようなサポートセンターの現在の活動を把握するために、今年度は各地で開かれたNPOの集会に参加した。「NPOフォーラム2001」のNPOサポートセンター部会で「市民フォーラム21・NPOセンター」、「長野県NPOセンター」を、「全国町並みゼミ」では「小樽再生フォーラム」を、「東北・北海道ブロックNPO支援センター研修交流会」では「北海道NPOサポートセンター」、「NPOプラットフォーム」を、「ナショナルトラスト全国大会」では「ヘリテイジトラスト」を特に注目し、別に「せんだい・みやぎNPOセンター」も訪ねた。他にも市民活動全体を活性化しようとする「市民社会フォーラム」(元日本ネットワーカーズ会議)、市民活動をインターネットで支援しようとしている「JCAFE」、中央のロビー活動に取り組んでいる「環境行政改革フォーラム」や「シンクネット21」などの集まりに出て、資料を収集した。これらから、日本で今NPO勢力は着実に力をつけており、それは特に2つの方向に進んでいると言える。一つはNPOが現社会で自らの影響力を具体化する事業化の方向であり、もう一つは現社会を変革するために活動を政策提言に特化する方向である。 しかしヨーロッパ調査より分かったことは、ヨーロッパでは市民参加と情報公開により市民が中心になって1990年代から既に社会全体を持続可能なものに変革していたことである。日本で市民セクターを代表するNPOが現れたのは1990年代であり、2000年代になってようやく政策提言による社会変革に向おうとしている。しかしドイツの緑の党などの動きから見ると日本は20年は遅れている。現在も高度成長期の利益配分の旧い構造が優性である。この構造にNPOが効果的に立ち向かうにはどうすればよいかの解明が次年度の課題である。
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