2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における文化価値の相対的自律性とその展開
Project/Area Number |
13610231
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
加納 弘勝 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20214497)
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Keywords | グローバル化 / リージョンとしての地域 / イスラム運動 / 民族のアイデンティティ / 民族の織物 / 地域文化 / シンボル操作 / 映像データ |
Research Abstract |
グローバル化に伴って二つの社会・文化、すなわち、ローカルとグローバルの出会いと接触が強まり、この過程でリージョナルなものがますます重要になっている。旧ソ連崩壊後の中央アジア・トルコ地域圏、イラク戦争に伴うヨーロッパ地域の強い意志、アルカイダなどイスラム運動の国境を越えた地域的広がりは、リージョンとしての地域を浮上させている。浮上する広い地域は、「住民達がこれこそ自ら住む世界だと考えている地域範囲」(世界単位論)に重なり、それを構成する地域文化を理解する必要性を高めている。 最終年度にあたり、住民にとって身近な文化価値の強化・育成に注目し、とくに住民が価値とシンボルを身近に確認する民族の織物や影絵芝居など、特定の文化対象に焦点を合わせて、そこに込められた住民の願いやシンボル、それらの地域的広がりと変容(中央アジアの地域圏、モロッコと西アフリカ地域結合)、文化対象を取り巻くローカルな社会とリージョナルな広がり(織物が示す先進・後進エスニック集団など)を検討した。特定の文化対象に視点を定め世界諸地域における国家と社会、あるいは、支配者による文化シンボル操作と民衆の対応も検討した。こうした検討は、地域文化とその動向を身近な形での理解を可能とする。 地域文化を扱うときに文字情報では伝えきれない部分を、映像データやカラー写真を整備し、地域文化の課題との関連で提示することは、学生の地域への触媒となった。
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Research Products
(2 results)