2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610236
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
堀川 三郎 法政大学, 社会学部, 助教授 (00272287)
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Keywords | 景観保護 / 中心市街地活性化 / 都市再開発 / 町並み保存 / 環境社会学 / 都市社会学 / 土地制度 / 住民運動 |
Research Abstract |
本研究の中核的問いは「中心市街地の再開発は,都市の景観にいかなるインパクトを与えているのか」,そして「それは,結果的にいかなる社会関係の変化をもたらしているのか」というものである。前者の問いを解明するために建築学的景観調査を援用して実査し,後者に関しては環境社会学や都市社会学の方法を駆使して分析した。2001(平成13)年度は,すでに手がけてきている歴史的環境問題としての小樽運河論争の調査を中心に調査を行った。主要にはヒアリングと定点観測調査を行った。 (1)コモンズとしての運河空間:ヒアリング調査の発見 小樽運河論争の調査では,景観保存運動参加者へのヒアリングと,問題とされた当該計画策定の経緯の現地調査を実施したが,その中で運河港湾地区が単なる労働空間ではなく,誰の縄張りでもない子どもの遊び場であったり市民が釣りを楽しんだりという,オープンアクセス型のコモンズでもあったことが見い出された。これは公有水面である運河を非所有者である市民が残せと主張する論理の根幹に関わる部分であり,貴重なヒアリング成果であったといえる。 (2)土産物店化の趨勢:定点観測調査の発見 上述のような回顧型生活史ヒアリング・データに加え,運河港湾地区及び中心市街地における景観変化調査を実施した。定点観測として276棟を1997度から継続して調査しているが,本年度も同様に実施した。ある特定地域の著しい土産物店舗化の趨勢が明快に浮かび上がってきたと思われる。また,商店街116店舗も1998年からの継続調査で、大規模店舗の出店・倒産を見通すことの可能なデータとなった。現在のところ鋭意分析中であるが,業態別,店舗裏の居住スペースの有無などといった要因別の変化を類型化しつつある。 以上が初年度の研究実績の概要であるが,こうした調査・研究の成果は,年表(全国町並み保存連盟の年次大会資料集に掲載)と論文(放送大学「コミュニティ論」印刷教材中の第9章)という形ですでに一部を発表済みである。
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Research Products
(1 results)