2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610240
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長田 攻一 早稲田大学, 文学部, 教授 (10120908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 昌昭 早稲田大学, 文学部, 助手 (90318725)
坂田 正顕 早稲田大学, 文学部, 教授 (00063800)
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Keywords | 四国遍路 / 巡礼 / 文化 / 道 / 水 / 伝説 / 空間構成 |
Research Abstract |
四国遍路道を具体的なフィールドとし、道の文化的意味の豊かさとその変質傾向を現代社会の特質を背景に考察するのが、本研究のねらいである。道の文化的意味を歴史的に堆積された「水の文化的重層性」という側面からとらえ、沿道生活者と巡礼者の水をめぐる交渉形態に注目することによって、その現代的意味を、現代社会の水に対する価値観、水の利用形態を相対化しつつ考察しようとするものである。 平成13年度の段階では、調査開始も7月以降にならざるをえないこともあり、主として四国各地での沿道住民、寺院関係者、郷土史研究家などへのインタピューと資料収集を通じて、地域を選定するための予備的作業にほとんどの時間を費やした。その過程で、遍路文化の一部としての水が、沿道地域住民と巡礼者の間のダイナミックな関係を構成する上で重要な接点としての意味を、かつて色濃く持っていた地域、現在でもかなり重要な意味を持っている地域、近年になってから沿道生活者と巡礼者の交流の契機としての意味を持ち始めた地域に注目するとともに、研究対象とする水の形態としては、河川(吉野川、四万十川など)、溜池、湧き水にとくに注目し、それらが沿道生活者、巡礼者にとって持つ多様な意味がどのような側面で接点を有するのか、また有していたのかを、歴史を遡って探っていく必要があることが確認された。そのための有効な方法として、水に関する「伝説」が採集される地域スポットを選定することが提案され、さまざまな伝説の収集と類型化の試みを参照するとともに、伝説の分析方法についての検討と現地での伝承者の発見、巡礼者の側での伝説との接触メディアの広がりと接触頻度などについての予備的調査が行なわれた。平成14年3月以降、地域を確定し本格的な調査に入る予定であり、現在は研究分担者の間で担当する地域の分担を決めた段階である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 長田攻一: "現代四国遍路における聖なる経験の持続と変容"早稲田大学大学院文学研究科紀要. 第47輯. 1-15 (2002)
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[Publications] 長田攻一, 坂田正顕, 関三雄編著: "四国遍路と遍路道の社会学"学文社. (2002)