2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610249
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
尾嶋 史章 同志社大学, 文学部, 教授 (30177224)
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Keywords | 階層構造 / 所得格差 / 女性の社会進出 / ライフスタイル |
Research Abstract |
本年度は、(1)女性の階層的な位置に関する研究枠組みの再検討、(2)社会進出に伴う世帯の収入構造の変化分析を行った。さらに、(3)今後の女性の就業を介した階層構造変動の鍵となる女子学生の行動を捉えるための調査準備と実査の一部を行った。 (1)イギリスで80年代を中心に行われた「女性と階級」論争をレビューし、その中から日本に適用可能な分析枠組みを探った。特にこれまで日本では行われていない女性の職業別にみた学歴、収入、従業上の地位、職務上の権限などを基準として、女性の職業をクラスター化し、階層的位置の指標とする可能性を検討した。 (2)1985年SSM調査と1995年SSM調査を用いて、世帯収入に及ぼす妻収入の影響について検討した。世帯収入に占める妻収入の割合は10年間大きく変化していないが、高収入の夫を持つ妻で非課税限度枠を越える収入を得る妻が増加しており、その結果夫婦間にみられる個人収入の相関が大きくなる傾向がみられた。このことは、この10年間に生じた「イデオロギー環境」の変化やそれに支えられた高学歴女性の就業継続の増加が影響したことを示唆している。この細部に関しては次年度の検討課題である。 (3)1995年SSM調査の結果から、高学歴女性の就業継続傾向がみられることが明らかになっている。このことは今後、(2)でみられた世帯収入構造の変化、さらにはその結果としての階層間格差の拡大を示唆する。この点についてこれから就職を行う大学生はどのような見通しを持っているのか。この点を明らかにするためのパネル調査を企画し、第1回調査を2001年12月に実施した。
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