2001 Fiscal Year Annual Research Report
〈旅〉と〈住〉の間-移住・地域選択をめぐる愛着と動機の言説の相互作用論的分析
Project/Area Number |
13610254
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
菅 康弘 甲南大学, 文学部, 助教授 (40226410)
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Keywords | Iターン / 移住 / 脱都市 / ストレンジャー / 旅 / 観光 / 地域選択 / 愛着 |
Research Abstract |
脱都市移住動機、地域選択の概要を把握するため、本年度はまず雑誌記事から抽出した移住者のデータベース化に着手した。そのため専用のサーバーおよび入力用のコンピュータ、そしてネットワーク対応のデータベース・ソフトを導入し、入力のネットワーク化をはかった。結果、一元的なデータ管理をできる環境が整い、複数の研究補助者により入力が可能となり、効率が向上したばかりでなく、入力の正確さが保たれるようになった。これで入力のためのデータベース環境は完成した。 本年度入力したデータは948件である。簡単な集計を施した結果、当初のもくろみ通り、移住動機に<旅>の要素が、具体的・直接的な移住動機の背後に多々みられることが判明した。そこには旅の経験、特に若年期における体験が、生まれ育った土地から新たに選択された土地への移住に大きく作用している。 暫定的な仮説であるが、本年度2回のインタビュー行(北海道・「とほ」宿計9世帯、および札幌において移住者ネットを主宰するNPO法人「北海道開拓使の会」元事務局長)と、上記の1.5次データから、「いつか住んでいる土地を去るかもしれない」という漂泊的意識と、現住地に対する愛着(特に地域活動参加の意欲や開発などにともなう具体的な活動など)とは、負の相関がないことが考えられる。逆に<旅>の意識が強ければ強いほど現住地に対する愛着やこだわりが強いことが考えられるのである。 しかしそれ故、すなわち移住動機や地域選択において<旅>が前面に出るがゆえに、地域との摩擦が生じている事例もあれば、またネイティブとの感情的な行き違いがある事例も観察された。次年度は、データ入力の留意点として、また聞き取り調査におけるウェイトとしてこれらの点をより精緻に深化させる必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)