2002 Fiscal Year Annual Research Report
新生児集中治療室入院患児へのソーシャルワークプログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
13610256
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 清恵 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90268558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 直毅 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80340983)
橘高 通泰 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50068532)
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Keywords | 障害発生リスク / 子育て生活支援 / スクリーニング / 新生児集中治療 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
1.超及び極低出化体重児の母を起点とした他者との関係性における「困難」の実態の解明 上記の研究目的のため、意図的サンプリングにより12名の当院新生児集中治療室に入院歴がある児を育てている母に半構造化されたインタビューを行ないデータを収集しグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。結果として、以下の新たな知見が得られた。 (1)新生児集中治療室に入院歴がある児を育てている母の他者との関係性における「困難」の実態の解明は障害発生のリスクを抱えた児を出生してから始まる母の子育て生活の営みの有り様の解明に他ならない。 (2)障害発生のリスクを抱えた児の養育においては、子どもの生活と自分の生活との折り合いをつける手立てを講じる必要に迫られている。健常に育つことを約束された児に比べ、母はより多くのあらゆる資源の動員を図り、児の養育にあたっている。さらにそれらの折り合いのあり方に影響を及ぼすものとして、児と母の関係性と児の条件・父と母の関係性と父の条件・児の成長や発達に寄与する施設の有無と質・母の人間的価値回復の場の有無とそれを支える資源的条件・すべてを無条件に受けいれてくれる人の存在・普通でないものへの偏見などが存在している。 2.事例研究によるソーシャルワーク援助の解明 事例研究では「スクリーニングによるソーシャルワーカー介入後の継続援助」について典型事例を基に検討した。その結果、退院後の生活の変化に対する継続的な関わりとして、病状や障害状況等にもよるが、地域社会資源に繋がる時期やタイミング、質や量に差があり、社会資源や相談援助の機会に乏しい当事者は、深刻な困難を抱える場合であっても見過ごされることがあることが判明した。今後プライマリケアにおけるスクリーニング、つまりソーシャルワーカーによって要援助と判断されるケースへの外来における継続(再)援助の発見の必要があると考えられた。 3.相談援助事例の現状把握のためのデータベースの構築 超及び極低出生体重時の相談ケース約1300件について、診断名、首座、援助内容コードなどの基礎項目を電子データとして登録した。今後主訴の内容をコード化し、母集団の特徴に関する数量的分析を行なう。
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