2001 Fiscal Year Annual Research Report
途上国へ適用可能な自治体レベルの環境政策モデルの事例研究
Project/Area Number |
13610257
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
平岡 義和 奈良大学, 社会学部, 教授 (40181143)
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Keywords | 自治体レベルの環境政策 / 政策の歴史的変遷 / 担当者への依存 |
Research Abstract |
1.文献・資料の探索 本年度は、初年度なので、基礎的な文献・資料の収集に時間を割いた。宮城、福島、東京、愛知、福岡(福岡、北九州)、熊本(熊本、水俣)などの地域に出向き、主として県レベルの環境白書的な資料及び関連する資料を検索し、複写した。その場合、できれば高度経済成長期の公害対策から現在の環境政策まで、地方レベルにおける政策の歴史的な変遷を記述した文献・資料を探索することを試みた。しかしながら、そうした類の資料は、北九州市などを除き、まとまった形では存在していないことが明らかになった。 2.自治体担当者からの聞き取り また、試行的ではあるが、つてを頼り、水俣、福島など、一部の自治体における環境政策の担当者に対して聞き取りを行った。それによれば、大枠的な方針はともかく、具体的な政策・対策に関しては、担当者の試行錯誤的な立案・行動にゆだねられる部分が大きいことがわかった。特に、水俣病発生当時の水俣市においては、実際の対応にあたったのは、医学などの知識もほとんどない若手職員1名であり、患者・家族に対するケアから、漁民、国や県の担当部局、大学などの研究者への応対まで、こなしていたのが実状であった。こうした状況であったため、この担当者が問題に関する情報をもっとも多く持っていた考えられるが、実質的権限がほとんど与えられていない上に、個別の事態への対処に追われていた。したがって、一貫した方針がないままに、その時々の状況にしたがって、関与した諸主体の思惑・影響力に左右される形で、事態が推移していったと思われる。
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