2001 Fiscal Year Annual Research Report
戦後ドイツにおける青少年問題への取り組み―異文化理解教育の視点を中心に―
Project/Area Number |
13610275
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
畔上 泰治 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (70184174)
|
Keywords | モーリンゲン / 少年強制収容所 / ツィーテルマン |
Research Abstract |
この研究は2001年度から2003年度までの3年間にわたるものであり、本年度では次年度以降の本格的な研究を視野に入れ、第二次世界大戦に対する戦後ドイツの対峙を中心に、以下の基礎的な準備研究を行なった: 1.基礎文献・資料の収集:書籍や論文、統計資料、コープレンツ及びベルリン公文書館所蔵の資料等を中心に、研究のための基礎資料を収集した。 2.ドイツでの聞き取り調査:M.グーゼ(教師。自分の住む村で第二次世界大戦中に行なわれていた外国人に対する強制労働の実態を研究し、地域の異文化理解教育に取り組む:リーベナウにて)、V.ヴェーバー(少年犯罪部門を担当する検察官:ベルリンにて)、J.ディークマン(教師。教会活動を通した少年・少女の育成に貢献:ビーレフェルトにて)の各氏に対する現地でのインタビューの実施。 3.アルヌルフ・ツィーテルマン『パウレ・ピツォールカ』研究:これまでに「ドイツ児童・少年文学アカデミー大賞」など数多くの賞を受賞しているA.ツィーテルマン(1929年生れ)は小説『パウレ・ピツォールカ』により1992年にグスタフ・ハイネマン平和賞を受賞している。この賞はブラント政権時代の大統領グスタフ・ハイネマンの平和政策を称え、ノルトライン・ヴェストファーレン州(ドイツ連邦共和国)が年一回授与している賞である。その対象は戦争をはじめとするあらゆる暴力の廃絶や世界平和に寄与する児童・少年図書である。この作品には、今でもなおその存在がドイツ国内においても十分には知られていないモーリンゲン少年強制収容所の実態や、ナチ政権下でのヒトラーに対する国民のさまざまな認識の相違、更には歴史を相対化することへの危惧の念が描かれていることを分析した。また、この作品はドイツの若者に対して歴史と正しく向かい合うことを通しての近隣諸国との真の友好関係の確率を唱えたものであることを検証した。
|
Research Products
(1 results)