2002 Fiscal Year Annual Research Report
総合学習カリキュラムの学習効果に関するナラティブ・スタディ
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13610280
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
浅沼 茂 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30184146)
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Keywords | ナラティブ・スタディ / 科学 / 社会的な効率 / 観察可能性 / 科学的な管理 / カリキュラムづくり / 個人の自我 / 蓋然性 |
Research Abstract |
本年度は、カリキュラムのナラティブ・スタディに関する文献と資料を分離し、整理を試みた。その成果の一部を大学の紀要に論文として発表した。その中では、教育における個別事例研究の可能性と実例について論じた。教育学は、「科学」の必要条件である、客観性、予書可能性、そして観察可能性を追求したとき、教育において重要な偶然的な要素すなわち「出会い」のような予見不可能性の重要性は、「蓋然性」に置き換えられ、個別の経験の意味の追究がなおざりにされるようになってしまったのである。教育の「科学」は、教育における「社会的な効率」を追究するグループとしてカリキュラムに関しての科学的な管理を目指していた。心理学による知能測定は、このような効率追求するグループにとって一つの重要な方法であった。たとえばなしの『セーバートゥース・カリキュラム』は、心理学の仮面を被って科学たらんと背伸びする教育学のあがきの姿を描いている統計的な偏差値と科学的な管理が教育において擬似科学として登場し、それが何か教育における万能薬であるかのようにはやり出すとという物語は、個人はもはや主体性をもった人間ではなく、工場で管理される部品のような存在として描かれるのである。カリキュラムづくり(Curriculum-making)が20世紀の前半に盛んになる背景には、実は、このような工場モデルが大きな影響力があった。このような工場モデルのカリキュラムづくりは考え方としては、主要な流れをなしていた。それに対して、個人の自我の可能性をカリキュラムの主要な研究課題として展開した方法論が自伝的方法などによって明らかにされた。その手法の一つとしてある学校の実践事例を描き、その内容を分析評価した。
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Research Products
(1 results)