2001 Fiscal Year Annual Research Report
高卒無業者の教育社会学的研究-高卒労働市場と進路指導の地域差を中心に-
Project/Area Number |
13610285
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
耳塚 寛明 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (40143333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 礼子 日本労働研究機構, 主任研究員
酒井 朗 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (90211929)
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Keywords | 教育社会学 / 高校教育 / フリーター / 高卒無業者 / 労働市場 / 進路選択 / 進路指導 |
Research Abstract |
90年代以降、高卒者の進路の中で、もっとも注目すべき変化をみたのは、高卒時点で上級学校へ進学するでもない就職するでもない、いわゆる「高卒無業者層」の動向だった。高卒無業者は、いったいどこでどのようにして生み出されてきたのか、そして、それはいかなる帰結を高等教育さらには全体社会にもたらすことになるのか、これが本研究の主要な問題である。これらの問題に接近するため、本研究は1999年度から第1次調査(基盤研究(C)、高校進路指導に関する教員インタビュー調査、教員対象の質問紙調査、高校2年生対象の質問紙調査)を行った。そして第1次調査を継続・発展させ、本年度には、第2次調査(前年度対象とした高校生に対し再度質問紙調査)を行い、その結果を分析した。また、他地域との比較を行うため、富山県、沖縄県と宮崎県で教員対象のインタビュー調査と資料収集を実施した。 質問紙調査からは、以下の知見が挙げられる。まず、高3・1月時点での内定進路と高校在学中の進路志望の変化を追うことによって、高卒無業者は「進学断念型」「就職断念型」「目標設定型」「モラトリアム型」に類型化された。職業生活意識と無業者との関係からは、フリーター全般にモラトリアム志向があるとはいえず、むしろ早くからの生活者志向が伺えた。さらに、家庭的背景との関連を見ると、ホワイトカラー及び高学歴層でフリーター(無業者)が少ないことなどが明らかになった。高校生の進路分化については、進学志望・就職志望者は学校階層仮説、労働市場における学校の地位仮説、階層文化仮説が有力である。一方、フリーター志望に関してはそれらの要因に加えて、アチーブメント仮説、行動特性仮説、経済階層仮説のいずれもが関わっていることが示唆された。
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