2003 Fiscal Year Annual Research Report
地方自治体における教育情報管理体制と公開・開示基準に関する総合的・開発的研究
Project/Area Number |
13610291
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
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Keywords | 教育情報公開 / 個人情報保護 / 地方教育行政 / 教科書採択 / 学校自治 / 教育参加 |
Research Abstract |
1 前年度に引き続き、地方公共団体が定める主要な個人情報保護条例及び情報公開条例及び情報公開審査会・個人情報保護審査会の決定等の動向とその特徴を検討した。 国の情報公開法・個人情報保護法が制定されたことにより、それに準拠する方向で条例改正が進められる傾向がいっそう強まる傾向にあり、きわだった特色をもつ条例を見出すことが難しいという点が一つの特徴になっている。しかし、今日の地方公共団体における情報公開制度・個人情報保護制度のなかでは、那覇市情報公開条例と神奈川県個人情報保護条例に見るべきものがあると考えられる。 2 学校教育に関連する個人情報を当事者に開示する傾向はほぼ決定的となっているものの、それに対応しうる個人情報の作成・管理のガイドラインは整備されておらず、いまだ各学校の個別的な管理に委ねられている傾向にある。当事者に対する個人情報開示を過剰に忌避する傾向が見られたり、生徒個人情報の学校外持ち出しやそれに起因する盗難・紛失の事例が発生したりしているが、これらの現象はこうした情報管理体制の遅れを意味している。 3 米国の地方教育委員会の教育情報関連規程と、それに基づいて作成されたstudent handbookや、保護者に対する個人情報関連の権利告知書を収集し検討を加えた。米国の公立学校においてstudent handbook等が整備された背景には、市民の権利意識の高まりだけではなく、1970年代以降継続的に情報関連法の整備が進められていることがある。わが国における教育情報管理制度の確立整備のためのロードマップにとって示唆的である。ただ、今回検討の対象としたstudent handbookに見るかぎり、教育情報関係規程をそのまま保護者・住民に提示しても、その意味するところを了知されることは必ずしも期待できず、保護者や適切な年齢に達した生徒には情報開示請求権などが保障されていることを適切な方法で伝達する必要があることがあらためて認識された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中嶋哲彦: "教師の教育の自由と教科書採択問題"日本教育法学会年報. 32. 96-104 (2003)
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[Publications] 浦野東洋, 他: "教育小六法 2004年版"学陽書房. 1132 (2004)