2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610313
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
太郎良 信 文教大学, 教育学部, 教授 (20236772)
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Keywords | 『綴り方倶楽部』 / 『昭和の綴方』 / 『鑑賞文選』 / 小砂丘忠義 / 白尾舜二郎 / 生活指導 / 文章表現技術 / 綴方学習雑誌 |
Research Abstract |
本年度は、主として三つの研究作業を並行してすすめた。 第一は、千葉春雄主宰『綴り方倶楽部』(1933年4月〜1942年5月、東宛書房)のうち、1937年6月までの前半期のもの(ちなみに、1937年7月から1938年1月まで休刊している)について、掲載記事や掲載児童作品についてデータベース化をすすめたことである。このデータベースにより、綴方や児童詩の題材の傾向やその変遷、投稿者の地域分布、指導者の顔ぶれなど、『綴り方倶楽部』の前半期の内容分析をすすめていく条件整備が進んだこととなる。 第二は、各種の綴方学習雑誌の収集をすすめた。日本近代文学館や神奈川近代文学館所蔵の関連資料の調査をおこなったほか、現物の入手にもつとめたことである。そのなかで、新たに、白尾舜二郎主宰『昭和の綴方』(1933年創刊、兵庫県武庫郡芦屋、昭和の綴方研究会発行)の数号を入手した。同誌は、国内の機関等には所蔵されておらず、また、従来、誌名そのものも顧みられることはなかったものであり、新発見といってよい。内容上も、芦屋児童の村小学校関係者によって主宰された綴方学習雑誌として注目されるべきものと見られる。その他、『綴り方倶楽部』や『鑑賞文選』等の未確認号の補充につとめた。 第三は、『鑑賞文選』の内容を編集者・小砂丘忠義の綴方教育論の展開との関わりで分析する作業をすすめたことである。従来の研究においては、小砂丘の綴方教育論は時代とともに生活指導重視から文章表現技術指導重視へと重点が移ったかのような把握がなされてきたが、それは、子どもの学年段階・発達段階に応じて生活指導重視から文章表現技術重視へと強調点が移っているものという仮説的な見通しを得た。
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Research Products
(1 results)