2003 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代における西洋学校情報の受容と学校論形成過程の研究
Project/Area Number |
13610332
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
岩田 高明 安田女子大学, 文学部, 教授 (70160116)
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Keywords | 漢訳洋書 / 瀛環志略 / 地球説略 / 地理全志 / 聯邦志略 / 英国志 / 西洋教育情報 |
Research Abstract |
昨年度につづき漢訳洋書の西洋教育情報の分析を行い、下記の論文にまとめた。 今年度も漢訳洋書のうち、幕末期の日本に舶載され訓点を付されて翻刻されたものを分析の対象とした。 1.「漢訳洋書の西洋教育情報-『瀛環志略』『地球説略』『地理全志』の分析を中心にして-」 これは徐継〓『瀛環志略』(1850)、〓理哲『地球説略』(1856)、慕維廉『地理全志』(1853-54)に含まれる西洋教育情報を分析したものである。徐継〓はアヘン戦争後に廈門福州の対外通商事務となった清朝高官であり、〓理哲はアメリカ人宣教師、慕維廉はイギリス人宣教師である。彼らが、西洋諸国の隆盛と学術の発達、さらには学校教育の普及が関連づけて認識しており、その認識は日本の知識人たちにも影響を与えたと推測する。また『地球説略』のデンマークの項で、強制教育について紹介していることは重要である。 2.「漢訳洋書の西洋教育情報-『聯邦志略『英国志』の分析-」 これは裨治文『大美聯邦志略』(1861)と慕維廉『大英国志』(1856)の翻刻本である『聯邦志略』『英国志』の西洋教育情報を分析したものである。両書はともに、在中国宣教師によって、中国の人々にアメリカ合衆国やイギリスの文明の発展ぶりとそれを支える教育の重要性を伝え、キリスト教伝道の一助とするために書かれたものである。したがって、それぞれに「学館書籍」「学校志略」という項目を設けて、英米の教育事情を詳しく紹介しており、それは類書に例を見ない特徴である。その中で、アメリカの国民教育制度や無償制公立ハイスクールや教育委員会制度、あるいはイギリスのキリスト教知識普及協会による慈善学校運動を紹介していることは注目に値する。
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Research Products
(2 results)