2004 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代における西洋学校情報の受容と学校論形成過程の研究
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13610332
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Research Institution | YASUDA WOMENS UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩田 高明 安田女子大学, 文学部, 教授 (70160116)
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Keywords | 万延元年遣米使節 / 文久2年遣欧使節 / 村垣範正『航米日記』 / 玉蟲左太夫『航米日録』 / 市川渡『尾蝿欧行漫録』 / 淵邊徳蔵『欧行日記』 / 益頭俊次郎『欧行記』 / 福田作太郎筆記 |
Research Abstract |
本研究課題の下、江戸時代における西洋教育情報の受容について、オランダ語地理書に書かれた教育情報や、漢訳洋書に書かれた教育情報を分析して、その結果を報告してきた。 そして、今年度は、その第3の受容ルートである幕末遣外使節団の見聞録に書かれた西洋教育情報を分析した。幕末期には7回の遣外使節団が派遣されている。そのうち最初の万延元年遣米使節団(1860)と、その次の文久2年遣欧使節団(1862-1863)は、外交交渉に加えて西洋事情の調査を目的としており、村垣範正『航米日記』や木村喜毅『奉使米利堅紀行』、玉蟲左太夫『航米日録』あるいは、市川渡『尾蝿欧行漫録』淵邊徳蔵『欧行日記』、益頭俊次郎『欧行記』など多くの見聞録や報告書が残されている。それらの日記や記録の中に教育制度や学校に関する情報が豊富に含まれている。 まず、遣米使節団はアメリカ側が設定した盲学校や聾学校あるいは孤児院を訪問し、強い感銘を受けている。また、遣欧使節団も孤児院、盲学校、聾学校を訪問したほか、オランダの理科学校、ロシアの築城学校、鉱山学校、農業学校などを訪問しヨーロッパ諸国の近代産業を支える中等技術学校の充実ぶりに目を見張っている。これらの学校情報を網羅して、それを「幕末遣外使節団の西洋教育情報」にまとめて報告した。 また、上記遣外使節を派遣するにあたり、幕府は西洋事情の調査を使節団に命じていることが判明した。このような認識の源はどこにあるのか、また、それはどのように形成されて調査指令となったのかについて、『海国図志』、箕作阮甫、オールコック初代駐日公使を中心に現在調査中である。できるだけ早い時期に研究結果を報告したいと考えている。
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Research Products
(1 results)