2001 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける就学前教育と小学校教育の連続に関する研究
Project/Area Number |
13610333
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
赤星 まゆみ 尚絅大学, 文学部, 助教授 (50150975)
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Keywords | フランスの教育 / 幼小連関 / 学習期システム / 学業失敗 / 精神分析と教育 / フランソワーズ・ドルト / 初等教育(就学前教育と小学校教育) / 新教育と学校変革 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、フランスにおける就学前教育と小学校教育の連続の問題についての1960-70年代の動向や論争を検討・分析することが目的であった。今次は、政策論争よりも、深刻な「学業失敗」状況(60-70年代の小学校第1学年の学業失敗、すなわち原級留置率が20-30%にのぼる危機的状況と子どもの心身症的不適応の問題)に対して、フランス社会の様々な主張や教育論争、改革運動についての情報収集と分析・考察に重点を置いた。この時代の社会全体の教育関心と教育改革の運動は、当時の衝撃的な祉会変革の動向に対応したもので、収集した資料の検討によって、その後の教育改革・革新の動向はこの時期の論争や運動に方向付けされている所が大きい事を確信するに至った。 特に、60-70年代以降盛んになってきている学校変革の取り組み(新教育:私立学校)や方法・内容等の見直しによる教育革新の試み(公立学校)の最近の動向を調査し、子どもの心身症の増加という背景も踏まえて、精神分析学と教育め動向に主眼をおいた。とりわけ、教育に大きな影響を与えた精神分析医フランソワーズ・ドルトの思想とその教育的・社会的影響(没後10年余の今日、益々評価が高くなっている)の検討に取り組み、ドルトの思想に基づいて30年にわたって教育活動を展開している「ラ・ヌーヴィル学校」を訪問し、創立者達へのインタビューを行った。これらの成果は、日仏教育学会(2001年10月)で発表し、「フランソワーズ・ドルトの生涯と教育」(尚絅大学研究紀要)という形で論文化した。ラ・ヌーヴィル学校の教育については、論文化進行中であり、近いうち投稿予定である。 また、2002年5月日本保育学会において、就学前教育の始期にかかわる問題として「フランスにおける『緑の家』の運動の展開」の個人研究発表と、シンポジウムにおいて「フランスにおける初等教育の一貫システム」の報告を予定している。
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Research Products
(2 results)