フランスのアニマトゥール(社会教育職員)の職業化過程とアソシアシオンの役割

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13610334
• Research Institution: Shigakukan University
• Principal Investigator: 岩橋 恵子 志學館大学, 文学部, 教授 (70248649)
• Keywords: フランス / アニマトゥール / 社会教育職員 / アソシアシオン / 民衆教育 / ボランティア / 専門職化 / 社会的労働者

Research Abstract

本年度の研究の重点は、フランスのアニマトゥール(社会教育職員)が、民衆教育アソシアシオンのボランティアから職業アニマトゥールへ移行・展開する職業化過程に着目し、その職業カテゴリーとしての「社会的労働者」として位置付くに至った経緯と内実、その意味を明らかにすることにおいた。
アニマトゥールの職業化の展開は次の通りである。1)それまでアソシアシオンのみがアニマトゥール養成を行っていた段階から、国家や地方公共団体もまた養成に介入することになった。2)アニマトウールの国家養成が整備されるが、専門性の確保というよりは雇用確保の論理での細分化された資格の創出が支配的となった。3)アニマトゥールの身分は、全国労働協約が結ばれたものの、依然アソシアシオン間での身分格差が大きい。
こうしたことと関わって、結局のところ、アニマトゥールが担う活動は、社会・文化活動から社会活動へと重点がシフトすると同時に、国家資格の内容もまた雇用確保の視点からの社会活動へと重点が移行する。このことからアニマトゥールは「社会的労働者(trεVail leur sccial)として位置付けられることになった。
アニマトゥールが祉会的労働者とされることについては、雇用は増大したものの、その職は労働が断片的に細分化され資格として低位となり、専門性から遠ざかりモザイク化する傾向が濃厚になった。今後アニマトゥールの闘士性を土台とする専門性の確保が求められている。

Research Products

• [Publications] 岩橋 恵子: "フランスにおけるアニマトゥールの職業化過程の特質-アニマトゥールの今日的性格枠組みの誕生-"現代世界の生涯学習(エイデル研究所刊). 225-241 (2002)
• [Publications] 岩橋 恵子: "フランスの民衆教育-「いま一つの生涯教育」の考察として-"現代世界の生涯学習(エイデル研究所刊). 212-224 (2002)
• [Publications] 岩橋 恵子: "フランスの生涯学習事情"生涯学習年報(Link). Vol.5. 33-38 (2002)