2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610336
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare Junior College |
Principal Investigator |
広井 多鶴子 高崎健康福祉大学短期大学部, 助教授 (90269308)
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Keywords | 家族 / 親族 / 家 / 壬申戸籍 / 民法 / 戸 / 附籍 |
Research Abstract |
今年度は、<家族>という概念の成立過程を明らかにするために、幕末から明治初期の辞書や法制度について研究した。 家族はこれまで社会の基礎単位であり、人類に普遍的な親族集団であると考えられてきた。しかし、家族ということばは幕末になってはじめて使われるようになった漢語であり、幕末から明治初期までは、家族という語は一般には使われていなかった。しかも、明治前期においては、親族の範囲は血縁者に限定されておらず、家族という語が使われだすようになっても、家族は時に親族と置き換えられ、親族や同族と家族との区分はあいまいだった。 家族という語を広め、家族という新たな概念を形成したのは、明治4年に制定された壬申戸籍であったと思われる。壬申戸籍は、血縁者のうち同居する者のみを「家族」と見なし、それ以外の血縁者や同族などを家族と区分した。しかも、同居の血縁者であっても、傍系親族は多くの場合「附籍」として戸籍に登録された。壬申戸籍こそは、親族と家族の区分を作り出し、主として直系親族で構成される<戸=家=家族>を新たに編成するものだった。しかし、壬申戸籍は他方で、使用人などの非血縁者をも、附籍として同一戸籍内に組み込んだのであり、<戸=家>が家族の集団として純化するには、民法の制定をまたなくてならなかった。
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Research Products
(1 results)