2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610373
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
日高 真吾 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (40270772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅井 裕子 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (20250350)
伊達 仁美 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (00150871)
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Keywords | 土摺り臼 / 水分量 / 強土試験 / 保湿 / 非破壊検査 / 破壊検査 |
Research Abstract |
本研究は、3カ年計画の内の初年度であった。今年度の研究の大きなテーマとして、土摺り臼の現状調査を行うとともに、土摺り臼の製作技法について検討することとした。 現状調査においては、各博物館において収蔵されている土摺り臼の劣化状況について注目し、調査を実施した。この調査で土摺り臼の劣化状況に共通して見られた事項として、乾燥による土の風化が顕著に見られた。当初の研究代表者等は、劣化の大きな要因になるとした、にがりの影響を考えていた。しかし、土摺り臼の製作技法について調査を行った結果、にがりについてはその使用量から直接的な影響は考えにくいことが明らかになった。そこで、さらに調査を進めた結果、土摺り臼の劣化要因には、土に含まれている水分量が風化によって著しく低下し、土の脆弱化が進むことが仮説として考えられる。 以上の仮説をもとに、来年度の大きな研究計画として、次の調査項目について明らかにしていくこととした。 1.土摺り臼の水分量の測定 2.JIS規格を参考とした、土の強度試験 3.土摺り臼の強化方法の検討 4.土の保湿維持のための保湿剤の検討 上記、調査項目のうち、特に1.2.3.については、破壊検査が必要となってくる。本来文化財の検査方法としては非破壊検査が望ましいが、幸い本研究のテーマについて理解していただいた方から、土摺り臼の提供を受け、破壊検査の実施が可能となったことを注記しておく。
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