2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610374
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
遠藤 芳信 北海道教育大学, 教育学部函館校, 教授 (70125368)
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Keywords | 要塞防禦教令 / 参謀本部 / 要塞司令部 / 戒厳業務 / 住民保護 / 戦備実施 / 防禦戦闘 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画は、1902年要塞防禦令草案と1910年要塞防禦令の成立・制定過程を考察し、特に防衛体制構築と要塞所在地の地方自治体・地域住民との関係を明らかにすることにあったが、下記のような研究実績を得ることができた。 1.防衛研究所図書館所蔵<陸軍省大日記>中の『密受受領編冊』『軍事機密文書編冊』及び同図書館所蔵の<文庫千代田史料>等を調査し、1902年要塞防禦教令草案と1910年要塞防禦教令の成立・制定過程を詳細に解明することができた。特に、従来、『密受受領編冊』(明治35年自7月至12月)編綴の「1902年要塞防禦教令草案」が、実際に制定・頒布・令達された1902年要塞防禦教令草案と理解されていたが、その理解は誤りであり、同文書編綴の「1902年要塞防禦教令草案」は実際に制定・頒布・令達されたものではなく、参謀本部起案文書であることが判明した。その上で、1902年要塞防禦教令草案と1910年要塞防禦教令の成立・制定過程を参謀長会議等との関係をふくめて考察することができた。 2.上記の1をさらに考察するために、上記<陸軍省大日記>中の『明治35年度東京湾要塞防禦計画書』と『明治35年度下関要塞防禦計画書』を分析し、防衛体制構築と要塞所在地の地方自治体・地域住民との関係を検討し、特に戦時における住民の保護・避難の考え方を解明した。 3.国立国会図書館所蔵の『偕行社記事』等を分析し、特にフランスの要塞の防禦体制の特質を解明し、近代日本の要塞防禦体制の意義を明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 遠藤芳信: "要塞地帯法の成立と治安体制(III)"北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編). 52巻1号. 117-132 (2001)
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[Publications] 遠藤芳信: "要塞地帯法の成立と治安体制(IV)"北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編). 52巻2号. 41-56 (2002)
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[Publications] 遠藤芳信: "函館山要塞の地図について"地域史研究 はこだて. 35号. 109-114 (2002)
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[Publications] 遠藤芳信: "軍機保護法の成立と軍事情報統制(I)"北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編). 53巻1号. 49-64 (2002)
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[Publications] 遠藤芳信: "軍機保護法の成立と軍事情報統制(II)"北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編). 53巻2号. 107-122 (2003)
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[Publications] 遠藤芳信: "1881年陸軍刑法の成立に関する軍制史的考察"北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編). 54巻1号. 125-140 (2003)