2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610380
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 晶則 名古屋大学, 文学研究科, 助手 (40293691)
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Keywords | 日本近世史 / 政教関係史 / 伊勢神宮 / 朝廷 |
Research Abstract |
近世後期における伊勢神宮の存在形態について、政治史的角度から分析し、その国家的位置や機能について解明するため、今年度行った研究実績は以下の通りである。 まず第一に、昨年度に引き続き、関白・武家伝奏関係史料の収集・検討を行い、幕府・朝廷・伊勢神宮の関係変化を追跡した。特に、幕藩政治の行き詰まりのなかで、朝廷存在がクローズアップされてくる天明・寛政期を焦点として調査を行い、幕府・朝廷双方が神宮の位置づけを段階的に上昇させ、儀式内容にも積極的に容喙するなど、対神宮政策に萌芽的な変化があらわれてくることを整理した。しかし、神宮内部では、こうした動きを必ずしも肯定的に受け止めておらず、さらに寛政以降を対象に、独自の論理と利害を有する集団として神宮の動きを再検討する必要がある。 第二に、伊勢神宮内部の動向を探るため、神宮内部に残された膨大な記録類のうち、天明期から寛政期にかけての一祢宜(長官)日記の解析を進め、基本的な史実の確定につとめた。しかし、史料所蔵機関が改築中である等の事情から、史料収集が思うように進捗しておらず、この部分については、数年後に予定されている史料所蔵機関の改築をまって再開することとしたい。 第三に、伊勢神宮をめぐる政治的社会的環境の復元については、近年の都市史研究の成果を吸収しつつ、引き続き御師の動態分析などを通して宗教都市伊勢の実態に迫った。その結果、18世紀後半から顕著に見られる御師数の減少は、宗教都市伊勢の地盤沈下を反映したものと判断され、これが流行神などによる影響か否か、今後さらに慎重に検討する必要があるが、宗教都市伊勢を考える際、これらの点や民衆による伊勢信仰の変化を含め、歴史段階的にとらえる視点の重要性を再確認した。 次年度以降については、一〜三それぞれの成果と反省にたち、引き続き19世紀段階における伊勢神宮の存在形態についても具体的な検討を行い,幕末維新期への見通しをつけていく計画である。
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