2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610382
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥村 弘 神戸大学, 文学部, 助教授 (60185551)
|
Keywords | 明治地方自治制 / 町村 / 播磨 / 小野市 / 姫路市 / 大日本帝国憲法 / 行政村 / 区 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であり、市制町村制下における地方自治体形成過程について、これまでの研究を総括し、報告書を作成した。本研究で、実証的には播磨国加東郡、飾磨郡、揖保郡、摂津国有馬郡を中心とした地域の自治体形成過程についての実証的な研究を進めた。また理論的には、大日本帝国憲法と明治地方自治制の関係について考察を深めた。 これにより明治地方自治制下の町村システムが、それ以前の連合町村制期のシステムを実態的に引き継ぐものであり、行政村-部落という二重構造が維持されたことが、地域的な偏差はありながらも明確になった。二重構造の存在は、従来から指摘されていたことでもあるが、行政村が直接担う機能は戸籍徴兵、地籍、小学校教育がその中心であること、その他の行政村レベルの衛生、土木、勧業等は部落の代表者と町村長の日常的な協議会で決定、実行されていること、行政村レベルの土木費はほとんどなく、部落での土木費用と、郡レベルの土木費用に二つに土木費は分解していたいことなどが明確となった。 このような二重構造のもとで、当初は制度的には部落は町村制のシステムに組み込まれておらず、府県によって制度的に組み込むことが拒否されていたが、日清戦後経営のなかで、システムに組み込まれているようになる。部落-区の長を「区長」として制度に組み込むことは、従来の研究では当然とされていたところもあるが、日清戦後の地域社会の変容のもとでこのような変化が生まれるのである。このことは行政村-部落の二重構造を行政村そのものが支えるようなシステムへと全体が展開していったことを意味するのである。
|
Research Products
(2 results)