2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610388
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
高橋 啓 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (50140588)
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Keywords | 公事出入 / 近世村落 / 内済 / 裁許 |
Research Abstract |
本研究は、近世の村社会内部で発生する多様な紛争(「公事出入」)に着目して、その具体的な分析をとおして、(1)近世村社会における「公事出入」の実態、(2)村の持つ紛争処理システム(地域秩序維持装置)と幕藩領主支配との関連性、(3)近世村落の社会的・政治的機能および性格について明らかにしようとするものである。そのため、本年度においては、阿波・淡路両国を主たる対象として、もっぱら藩領における関連史料をできる限り体系的に調査・収集することに努めた。史料の調査・収集は、写真撮影(マイクロカメラおよびデジタルカメラ)によった。本年度に収集しえた主な関連史料は、以下のようなものである。 *阿波蜂須賀家文書(東京都品川区、国文学資料館史料館所蔵) 本年度収集したのは、「御仕置御家老より御書付を以被仰渡候郡所記録」など、村方の「公事出入」に関する基本的な裁許関係の史料である。来年度も継続的に調査・収集の予定である。 *菊川家文書・賀集本家文書(兵庫県洲本市、淡路文化史料館保管) いずれも、これまで手つかずの状態で保存されてきた村方文書であるが、ここでは主として近世後期に藩から通達された「御用触達帳」(「御用留」)を体系的に収集することができた。 *粟飯原家文書(徳島県名西郡神山町、神山町史編纂室保管)、後藤家文書(鳴門教育大学附属図書館所蔵)、武田家文書(徳島市八万町、徳島県立文書館保管) 以上の村方文書では、各地で発生した「公事出入」の実例史料を多数収集することができた。収集史料からは「公事出入」の多様な実態が明らかになるが、今後、その膨大な関係史料の整理・検討作業をとおして研究課題の解明に努めたい。
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