2001 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄戦における人種関係問題と人間行動様式に関する社会史的研究
Project/Area Number |
13610400
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
田中 利幸 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (10329336)
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Keywords | 沖縄 / 沖縄戦 / 日本軍 / 米軍 / 太平洋戦争 / 戦争心理 / 人種関係 / 特攻隊員 |
Research Abstract |
本年度は、主に日本軍兵捕虜、沖縄一般市民、朝鮮人人夫に対して米軍が実施作成した尋問書を中心にした史料調査を、夏期休暇中(8月中旬心〜9月中旬)に米国立公文書館ならびに米海軍公文書館において行った。同時に、これらの史料と密接に関連していると考えられる米国立公文書館所蔵の関連写真の選択、複写作業も行った。当初、夏期休暇中に英国公文書館でも史料調査を行い、また春期休暇中にも史料調査を同上の米国公文書館で再度行う予定であったが、限られた予算と時間的制限を考慮に入れ、来年度に廻すことにした。現在、収集した史料を分析しながら、激しい戦闘状況の中で日本軍兵捕虜、沖縄一般市民ならびに朝鮮人の各グループの成員が他のグループとどのような相互関係に入り、どのように相手を認識し、各種の残虐行為がどのような条件下で、どのような原因で発生したのかなどについて考察中である。 本年度はまた、当初の計画には全く入っていなかった、沖縄戦な参加した神風特攻隊員、とりわけ学徒出身の特攻隊員の心理分析のための資料収集と分析にも努めた。この目的のために、国会図書館ならびに知覧特攻博物館において史料調査を行った。当時の知的エリートであった大学生達が、どのような心理過程を経て特攻員となり死と直面するようになり、自己の自殺行為をどのように正当化したのかを明らかにすることが、この調査の主たる目的である。このため目下、彼等が残した日記、肉親や親友に宛てた手紙類、遺書などの資料を収集し分析中である。この問題に関する研究の中間報告を、6月下旬に香港科学技術大学で「アジアの戦争と平和:日本、アメリカ、中国」というテーマの下に行われたワークショップで行った。
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