2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610410
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
高木 俊輔 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (90022186)
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Keywords | 農民日記 / 村落生活史 / 庶民の日記 / 農村生活 / 冠婚葬祭 / 村役人 / 家族 / 村内係争 |
Research Abstract |
当研究が対象とする日記史料は、未だ活字化されていないものが大半を占め、多くの人が利用できる形になっていない為、新たに良質な日記のデータベース化を推進することが不可欠であり、補助事業初年度である今年度は、幾つかの日記史料を抽出して全文入力する作業を開始した。 初めに、農民日記が数多く残されている東京都多摩地方・旧武蔵国多摩郡芝崎村名主鈴木平九郎の書いた「公私日記」(天保8年・1837〜安政4年・1857)を取り上げた。この20年間に及ぶ日記は、現在立川市歴史民俗資料館に寄託されているが、閲覧はコピーでしか許可されておらず、このコピー分と立川市教育委員会で活字化した20冊本の比較検討した上で20冊本を基本として割付し、外注入力を行った。当該入力分は8月末に全文テキストとして納品され、当該データをもとに調整及び追加入力を行った。 次に、今年度現地調査を実施したのは、静岡県御殿場市(旧駿河国駿東郡山之尻村)名主滝口家の日記である。滝口家の当主は代々「永代村中年時記録」(安永2年・1773〜安政2年・1855)という記録を残した。この記録は、すでに御殿場市が市史編纂の過程で活字化し別冊史料集として25年前に刊行され、現物は所蔵者に返却されていた。所蔵者滝口氏入院等の事情があり調査は遅れたが、この日記は記録者が既に一日毎にまとめて記述していたので、記事ごとに分別して割付を行った。当該史料はくずし字が難解で、保存状況が良くない年もあり、なお調査を続けて編集する必要がある。滝口家の日記に代わり旧山城国葛野郡東塩小路村頭百姓日記の「若山要助日記」(嘉永3年・1850〜明治2年・1869)に関しては、刊行本の入手から本文の割付、外注入力データの納品・最終調整が順調に運び、この幕末政局と関わった京都の村方日記の全文テキストが完成された。 また、「古橋家日記」(旧三河国の名主による日記・慶応2年(1866)〜昭和まで残存)の読解に着手、約1年分を入力作業が出来る状態に整理した。
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