2004 Fiscal Year Annual Research Report
清末民初における地方エリートの地域発展戦略の史的研究
Project/Area Number |
13610416
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
田中 比呂志 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90269572)
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Keywords | 地方(域)エリート / 立憲制 / 地方自治 / 清末民国初期 / 国家建設 |
Research Abstract |
本年度は、研究期間の最終年度にあたることから、これまでの研究の総まとめを行った。まず、これまでの研究において、科学研究費を使用して日本国内の主要な図書館・文書館はもとより、国家図書館(北京)、上海図書館、上海市トウ案館、南通図書館、南通市トウ案館を数回にわたって訪問し、主にデジタルカメラを使い、各館所蔵の関係史料を収集したが、本年度は、それらの諸史料のうち、まだ分析に着手していなかった史料の分析を進めた。また、上海図書館を再度訪問し、未収集であった必要な史料を収集し、分析に努めた。それとともに、本年度は、地方発展戦略に欠かせない財政問題について集中的に検討を進めた。 地方自治の推進にあたっては、財政問題も重要な課題であった。地方自治章程には、史上初めて地方自治財政の規程と、その財源とが規定された。それらの詳細な構造を地方志、および『江蘇省内務行政報告書』等の史料、および科学研究費を用いて上海図書館にて収集した諮議局議事録、省議会議事録等を使用して分析を行い、論文としてまとめた。それによれば、地方エリート等は、上海などの都市部をのぞいて、大半の県はその財政収入を土地に依存しなければならない構造となっていた。そこで地方エリート等はそのような限界の中にあって、胥吏や官僚等の関与を排して中間搾取の排除に努め、かつまた土地税の徴収率の向上や、土地所有者・担税者の確定のために自発的に土地の測量に従事したことなどを明らかにした。
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Research Products
(2 results)