2001 Fiscal Year Annual Research Report
非団体型社会中国における経営統合様式の発展に関する研究
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13610422
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
足立 啓二 熊本大学, 文学部, 教授 (70128247)
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Keywords | 経営 / 合股 / 夥計 / 巴県档案 |
Research Abstract |
三ヶ年におよぶ本研究計画のもとで、本年度は基礎となる資料の整理と、それを分析するための手法の確立を中心的な作業とした。一方で中心的な資料となるマイクロフィルム版を含む巴県档案の読解・整理を行い、一案件ごとに主要な経営要因を登録したデータベースを作成した。他方で、地方档案などに含まれる民事案件を中心とする経営資料を正確に読解する方法の開発のために、巴県档案の原文のデータベース化を行った。これを明清時代における小説資料などの全文データと併せることにより、伝統的な漢籍とは語彙の面でも著しく異なる民間経済資料を読み進めるための語彙・事例検索システムを構築した。この明清の経済語彙・事例検索システムは、前者の档案の読解・整理を進める上でも、顕著な有効性を発揮することが明らかになった。 こうした資料収集と整理の作業をさらに進めつつ、商工業・農業・運輸業など多様な分野にわたって、経営の持つ構造を比較史的方法をふまえて分析することは、本格的には次年度以降の課題である。しかし現在までの作業のなかでも、(1)中国の明清時代における経営が、相当な資金規模を有するものにおいても著しく継続性を欠いていること、(2)合股共同出資による経営(合股)においては、資本が個々の出資者の所有から独立しないこと、(3)経営の内部に存在する部門要素と、それを担う個々の労働者(夥計など)が、経営の中核によって充分統合されていないことなどが、種々の事象を以て説明可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)