2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610429
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高綱 博文 日本大学, 通信教育部, 教授 (90154799)
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Keywords | 上海租界問題 / 戦時上海 / 「国際都市」上海の変容 / 上海の外国人 / 古厩忠夫 |
Research Abstract |
平成15年度の「日中戦争期における上海に関する総合的研究」に関する研究実績としては、以下の3点がある。 (1)「日中戦争期のおける『上海租界問題』」(日本大学通信教育部『研究紀要』平成16年3月刊行)。本論文は日中戦争期における「上海租界問題」に関する日本側の認識と対応を考察することを主要な課題とした。このような考察を通じて、アジア太平洋戦争勃発以後における日本軍の上海租界進駐に伴う「上海租界問題」の処理のあり方を規定したところの歴史的な背景を明らかにすることを試みた。本論文では日本側の「上海租界問題」認識については戦前において著名な中国租界史研究者であった植田捷雄の論稿と興亜院華中連絡部の調査報告により検討するものであり、次いでアジア太平洋戦争勃発に至るまでの実際に生起したところの「上海租界問題」への日本側の対応については主に元上海共同租界工部局警視副総監・上原蕃の『上海共同租界誌』に依拠した。 (2)「日本における戦時上海研究-古厩忠夫氏の学説を中心に-」(上海社会科学院主催「上海開埠160周年国際学術シンポジウム」平成15年12月15日に報告)。本報告は15年2月に死去された日本を代表する上海史研究である古厩忠夫氏の戦時上海に関する諸研究を系統的に整理し、提示することを目的とした。即ち、古厩氏が戦時上海についてどのような問題意識を持って研究し、いかなる論点を提起し、どのような研究成果を上げたのかを明らかにすることを試みた。 (3)「日本占領下における『国際都市』上海-日本の外国人政策を中心として-」(高綱博文編『戦時上海-1937〜45年-』(研文出版、平成16年9月刊行予定、所収)。これまでの上海史研究ではアジア太平洋戦争の勃発と同時に上海は日本軍により全面占領され、「国際都市」も終焉したものと見なされてきた。そのため、日本占領下の「国際都市」の側面について検討されたことはなく、12月8日以降も上海に在住していた多数の外国人についてはほとんど関心を引かなかった。本論文は、日本軍の上海租界への進駐に伴う上海外国人政策及び外国人居留民の状況と検討することであり、それを通じて日本占領下において「国際都市」上海がどのように変容したのかを考察することを試みた。
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Research Products
(1 results)