2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610432
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY OF FOREIGN STUDIES |
Principal Investigator |
西川 真子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80319384)
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Keywords | 胡適 / 江冬秀 / 銭鐘書 / 楊絳 / 魯迅 / 矛盾 / 文化大革命 / 女子教育 |
Research Abstract |
前年度より引き続き、近代中国の知識階層の夫婦の間に存在した知的好奇心の共有という現象を考察課題とし研究を進めた。考察内容は大きく4つに分類できる。 第1に、胡適と江冬秀、銭鐘書と楊絳という2組の夫婦の事例を取り上げ、彼らが夫婦関係を築く中で教養或いは知識という要素がどのような作用を及ぼしたのかを論じた。胡適夫妻に関しては、2002年7月13日関西中国女性史研究会等の主催する国際シンポジウム「ジェンダーからみた中国の家と女」において、「民国時期知識人の家庭観--胡適の結婚」と題して研究成果を発表する機会を得た。 第2に、魯迅、茅盾等民国時代を代表する文人たちの論著に基づいて中国の男性知識人が妻をいかなる存在と見なしていたかを考え、教養ある女性を理想の妻とする家庭観の形成過程をたどった。 第3に、清末から中華人民共和国の成立に至るまでの期間、政権を握ろうとする者は家庭を国家の中でどのように位置付けようとしたのか、清末に起草された民律草案、中華民国民法親属編、中華人民共和国婚姻法に沿って、国家の意図した家庭建設の実態を考察した。 第4に、人民共和国成立後杜会主義建設に焦点を合わせた国家政策が打ち出される中で、家庭の問題はいかに処理されようとしたのか、また社会主義国家が求める家庭とはどのような実態を持つものであったのかを考えた。 以上、4つの視点から、近現代の中国社会において知識階層の夫婦が日常生活の中で文学、芸術などを話題に共通の話題を持ち、そこから精神的充実感を得ることを理想としたことを論証した。
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