2003 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ社会における「白人性」成立の学際的総合研究
Project/Area Number |
13610441
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹中 興慈 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50145942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 明子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (30264831)
小原 豊志 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (10243619)
井川 眞砂 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (30104730)
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Keywords | 白人性 / 人種主義 / 共和主義 / アメリカ独立革命 / 黒人奴隷 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ合衆国における「白人性」whiteness意識の構築とその展開過程を歴史的に検討することにより、同国における人種問題の実相を解明するものである。 本年度の研究活動の第一は、研究分担者が基本的資料の調査・収集およびその再検討を行ったことである。特に、小原は米国議会図書館、ノースカロライナ大学チャペルヒル校およびノースカロライナ州立公文書館に赴き、黒人選挙権問題に関する資料を収集した。 研究活動の第二は、前々年度および前年度に引き続き、研究分担者全員で本研究に関する研究書の精読を行ったことである。すなわち、D.R.Roedigerの著書、The Wages of the Whiteness(『白人性の代償』)の翻訳を行う研究会を毎週2時間程度開催し、人種意識の構築過程に関する理解を深めるとともに、意見交換を行った。 研究活動の最後は、これまでの研究活動の集大成として研究報告書を冊子体の形で公刊したことである。すなわち、1.竹中は「日本における『白人性』研究の現状と展望」というテーマで、日本における「白人性」研究の持つ問題点と展望を追求した。2.井川は「『ハックルベリー・フィンの冒険』をめぐる人種主義論争-19世紀アメリカの白人作家が描写した黒人像」というテーマで、今日のアメリカ合衆国で展開されている本作品(1885年出版)の人種主義論争に関わり、その黒人描写を検討した。3.小原は「アメリカ合衆国における黒人選挙権問題の19世紀的展開」というテーマで、南北戦争を画期にした選挙権における「白さ」の構築・解消・再構築の過程を追跡した。4.落合は「南北戦争の記憶と人種」というテーマで、南北戦争を巡る記憶(解釈)の形成と、黒人(他者)の排除によって成立した白人性の構築との密接な関係を検討した。
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Research Products
(1 results)