2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610451
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山代 宏道 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80113372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 徹 琉球大学, 法文学部, 助教授 (90258294)
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Keywords | ノルマン征服 / グローバリゼーション / 教会改革運動 / イースト=アングリア / 市場 / 交易 / 妻帯聖職者 / 商人 |
Research Abstract |
15年度は3回の国内資料調査と3回の研究成果報告会を行った。山代は、第1回報告(平成15年7月)「中世ヨーロッパにおけるノルマン人の移動」で、11・12世紀ヨーロッパにおけるノルマン人の活動の分析から、イングランド・南イタリア=シチリア・イベリア半島におけるノルマン人の征服活動が聖地巡礼と緊密に結びついていたことを明らかにした。この点は、9月グラスゴー大学歴史学教授デイヴィッド・ベイツ博士から、ノルマン人の活動とかれらが形成したネットワーク、そしで民族的アイデンティティーの重要性の指摘とともに、賛同を得ることができた。また、第2回報告(平成15年11月、中国上海市華東師範大学国際学術シンポジウム)「中世ヨーロッパにおける異民族異文化接触-ノルマン人の事例から-」は、中世ヨーロッパ民族史の専門家沈堅氏(華東師範大学教授)からも高く評価された。さらに、第3回報告(平成16年2月)「中世イングランドにおける排除と寛容-ノリッジ司教区の事例から-」は、11・12世紀の「教会改革運動」をグローバリゼーションと捉えながら、それとイングランド地域、とくにノリッジ司教区における聖職者妻帯問題を中心として、ローカリズムとのせめぎ,合いを究明した。宮城は、第1回と第3回報告「11・12世紀イングランドの市場と交易規則」(1)(2)で、ノルマン征服前後の時期について、R.H.Brithnellの研究と比較検討しながら、イースト=アングリア地域における週市と年市の発展がグローバリゼーションの影響としての大陸市場と結びついていたこと、さらに地域的には開催権利をめぐる権力行使や法設定と切り離せないことなどを究明した。上記の研究成果報告会での検討により来年度に本共同研究をまとめるための方向性が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山代宏道: "中世ヨーロッパにおける巡礼の旅-時空間移動の視点から-"広島大学大学院文学研究科論集. 63. 33-50 (2003)
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[Publications] 官城 徹: "アングロ・ノルマン期の所領経営と領主-農民関係の展開"西洋史学報. 30. 1-22 (2003)
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[Publications] 宮城 徹: "ドゥームズデイ=ブックに見る11世紀イングランド東部の王領地経営"史料が語る中世ヨーロツパ(國方敬司編、刀水社刊). 367-389 (2004)
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[Publications] 山代宏道(共著): "中世ヨーロッパと多文化共生"溪水社(共著者:原野昇,水田英実,山代宏道,地村彰之,四反田想). 207 (2003)