2002 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代開始年代および弥生・古墳時代時代区分の再検討
Project/Area Number |
13610466
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋本 博文 新潟大学, 人文学部, 教授 (20198691)
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Keywords | 弥生時代 / 古墳時代 / 布留0式 / 卑弥呼 / 自然科学的年代測定 |
Research Abstract |
昨年度は栃木県四斗蒔遺跡1号居館の以前調査を実施した分の資料整理と調査データの活字化を行った。その結果、熱残留磁気年代測定によって西暦220年±20年のオーダーを出した1号居館1号住居址をはじめとする1号居館の土器の充実したデータが補足された。また、あわせて自然科学的データも多く追加することができた。特に、熱残留磁気年代測定とのクロス・チェックの上で放射性炭素14年代測定を試みた。 一方、年輪年代測定によつて3世紀後半の年代が判明した新潟県佐渡郡新穂村蔵王遺跡の掘立柱建物の脇から出土した内行花文鏡は隣りの群馬県高崎市蟹沢古墳出土のものと酷似が指摘され、さらに同古墳からは卑弥呼が魏に遣使した魏の景初三年(西暦239年)の翌年である正始元年の銘をもつ三角縁神獣鏡が出土していることが明らかになった。蔵王遺跡の土器と蟹沢古墳の土器との比較検討によって同時期のものとすることに矛盾のないことが知れた。 最終年の本年度は昨年度から集積してきた弥生〜古墳時代にかけての自然科学的年代測定のデータの整理と、昨年11月に奈良県橿原市で開催された弥生時代の実年代論および古墳出現期のシンポジウムに出席し、その折新に調査中のマバカ古墳の土器の見学をした。また、桜井市埋蔵文化財センターおよび奈良県立橿原考古学研究所所蔵のホケノ山古墳・勝山古墳等出土土器の見学の成果を承けて、寺沢薫氏の提唱する布留0式の検討を行い、箸墓古墳や纏向古墳群出土土器と先の四斗蒔璋跡1号居館1号住居址出土畿内系叩き甕をはじめとする土器の編年的併行関係を検討した。 以上をもとに布留0式の年代観を西暦220〜250年とし、没年西暦248年頃の卑弥呼の墓を箸墓古墳に比定した。さらに、「親魏倭王」の金印を賜った卑弥呼を初期大和政権の初代の王とみなし、古墳時代の開始を卑弥呼が魏の皇帝から倭王として承認された段階、布留0式の時期と考えるに至った。
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