2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610529
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
久保木 秀夫 国文学研究資料館, 文献資料部, 助手 (50311163)
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Keywords | 古筆切 / 散佚歌集 / 和歌文学 |
Research Abstract |
本年度は、天理大学附属天理図書館・花園大学・泉屋博古館・京都女子大学附属図書館などに赴き、古筆手鑑・古筆模写資料・散佚文献関連資料などを閲覧・調査・撮影した。とりわけ花園大学において閲覧した曽根誠一氏蔵模写手鑑所収の伝慈円筆『公経集』断簡(古筆切でしか知られない散佚私家集である)、及び従来内容未詳だった泉屋博古館蔵手鑑を実地調査できたことは有益だった。同手鑑には伝光厳院筆六条切など、散佚歌集研究において重要視される断簡が少なからず貼られていた。 中でも本年度最大の収穫は、天理図書館において源承撰『類聚歌苑』の残欠本を見出したことであった。『類聚歌苑』は鎌倉時代中期の成立にして、今日においては完全に散佚したと思われていた私撰集であり、それが部分的(恋部、約100首分)ながらも発見された意義は大きい。この資料については、来年度も引き続き調査・研究を進める。 同時に昨年度同様、研究代表者(久保木)が収集してきた未刊・既刊の古筆資料類、及び売立目録中の古筆資料類のデータベース化を進めるため、新たにデスクトップパソコンを備え、作業の一部をアルバイトに依頼した。 さらに本年度の成果としては、従来単独で紹介されるばかりでほとんど未整理状態だった散佚歌集切本文を整理・集成し、参考文献目録をも附してまとめたことが挙げられる。これは「散佚歌集切集成 本文篇」というタイトルで、勤務先である国文学研究資料館文献資料部発行の『調査研究報告』第23号(平成14年11月発行)に一括掲載されている。 また、上記以外にも見出した散佚歌集に関する資料は少なくない。それらについての考察は、来年度以降の調査・研究を踏まえる形で進めていく。 なお、本年度の研究活動に際しては、昨年度同様、出光美術館学芸員の別府節子氏、鶴見大学非常勤講師の石澤一志氏に研究協力者として当該研究への参加と、河野美術館・金比羅宮などにおいての資料調査を依頼した。
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