2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 英樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20153207)
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Keywords | ヴォイス / 的 / のだ構文 / ラベル機能 / 授与動詞 / 文法化 / 構文ネットワーク / 機能拡張 |
Research Abstract |
1 ヴォイスに関わると見られる有標構文5種を取り上げ、それらが「広義に使役的な事態に対応する」という構文的意味を共有し、またそのことの文法的反映として「NP_1+準動詞+NP_2+VP」という構文形式を共有し、有標ヴォイス構文という一つの「構文」カテゴリを形成しているという事実をさまざまな言語事象を根拠に明らかにした。加えて、この「有標ヴォイス構文カテゴリ」のサブ・カテゴリ化を動機づける要因は、事態に参与する二つのNP1(関与者)が動作者か否かという対立と、VP(事態)そのものがスル的事態かナル的事態という対立の組み合わせによって規定される、言い換えれば下位構文の対立には[±action]、[±state]、[±agent]などの意味特徴が関与的パラメータとして機能しているという事実を明らかにし、形態変化をもたない孤立語としての中国語におけるヴォイス現象のあり方とメカニズムを体系的、理論的に特徴づけた。 2 "的"構文を取り上げ、助詞"的"の機能拡張という観点からその意味的および機能的特徴を明らかにし、さらには、日本語の「のだ構文」との対照を通して、デキゴトを概念化したうえで文のなかに取り込む際の日中両言語の文法的差異と共通点を指摘した。 3 構文ネットワークに関する事例研究として、北京語授与動詞の文法化を取り上げ、授与構文から受動構文への文法化および拡張のプロセスについて新たな見解を提示した。 以上の研究成果の一部は、第2回漢語被動表述国際研討会(平成15年10月11日、武漢・華中師範大学)および台湾中央研究院文哲研究所学術講演会(平成16年2月2日、台湾・中央研究院)においてそれぞれ招待講演のかたちで公表し、また雑誌論文(裏面記載)としても公表し、さらには13年度および14年度の成果とともに「研究成果報告書」としても公表する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 木村英樹: "中国語のヴォイス"月間言語. Vol.32,No.4. 64-69 (2003)
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[Publications] 木村英樹: ""的"字句的句式語義及"的"字的功能拡展"中国語文. 295期. 303-314 (2003)
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[Publications] 木村英樹: "隣接領域と中国語学"中国語学. 205号. 275-282 (2003)
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[Publications] 木村英樹: "北京語"給"字句拡展為被動句的語義動機"漢語学報. (印刷中). (2004)