2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国嶺南地域の摩崖石刻の資料化とそれに拠る中国山水文学の実証的研究
Project/Area Number |
13610534
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 摩崖石刻 / 唐代山水文学 / 桂林 / 国際研究者交流 / 顔真卿 |
Research Abstract |
本年度の研究は、嶺南地域で摩崖石刻が最も集中しており、かつ唐代の山水文学の形成に最も影響の大であったと思われる桂林およびその周辺について、1「文献研究」、2「実地調査」、3「石刻史料等の研究」の過程によって進めた。1、文献研究:方志および当地発行の文献資料等に拠って、本研究に関係する摩崖石刻の存在の有無およびその場所を可能な限り特定し、実地調査に備えた。また、『全唐文』・『全唐詩』及び石刻史料集・方志等に拠って録文を収集・整理し、校勘に備えた。2、実地調査:中国桂林に渡り、すでに特定した地域(鉄封山・虞山・疊彩山・宝積山・西山・隠山・象鼻山・伏波山・独秀峰・七星山・芦笛岩・乳洞岩等)に入って摩崖石刻の位置・現状等を約二週間に亘って調査し、カメラ等の機材によって記録した。また、現地の桂林博物館・桂海碑林・桂林図書館で関係の文献資料を調査すると同時に桂林博物館・広西師範大学・桂林旅游高等専門学校・桂林人民政府等の研究者と交流し、情報・資料の提供を得た。3、石刻史料等の研究:現地調査で得た画像資料をパソコン等によって処理すると同時に、『全唐文』・『全唐詩』・石刻史料集・方志等との対校および校勘・解読を開始した。現段階ですでに百個所を越える異文を発見しており、その中には当地の学者の間でも未発見あるいは未研究の摩崖石刻・岩壁墨書があると思われる。 成果の発表:今回の調査と研究をふまえて、2002年1月6日に桂林旅游高等専門学校にて「桂林旅游資源開発」と題する学術報告(発表1時間30分、質疑30分)を行い、当地のテレビ・新聞『桂林日報』(1月9日第一面)でも紹介された。また、2002年2月18日に京都大学人文科学研究所にて「顔真卿書"逍遥樓"について」と題して研究発表を行い、顔真卿の書とされる桂林石刻の疑問等を指摘した。
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