2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610568
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
好井 千代 大阪大学, 文学研究科, 助手 (90200930)
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Keywords | グローバリゼーション / アメリカ文学 / 世紀転換期 / 帝国主義 / コスモポリタニズム / plutocracy / ヘンリー・ジェーイムズ |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀末から20世紀初頭にかけての世紀転換期のグローバリゼーションの諸相を同時代のアメリカ文学を通して考察することだが、今年度(平成13年度)は、Henry Jamesの前期と後期の二つの大作The Portrait of a LadyとThe Golden Bowlを通して、グローバリゼーションの諸特色を多角的に検討した。まず、The Portrait of a Ladyでは、Jamesがグローバリゼーションの対照的な二つの側面、即ち、ナショナリスティックな帝国主義の動きと異文化志向のコスモポリタニズムを同時に描き込みながら、ヒロインのIsabelを前者の具現として後者の具現たる夫のクレオールのOsmondに対峠させて提示することで前者の方へ強く傾斜している点を、Mary Louise Prattの紀行文学論を援用して明らかにした。この研究成果は、今年5月の日本英文学会全国大会で発表予定であり、また、この研究の一部は近刊予定の『ドラマティック・アメリカ』に掲載予定である。更に、The Golden Bowlでは、グローバリゼーションの今ひとつの側面、即ち、国や文化や階級の境界がなし崩しになってゆくinternationalizationの動きがアメリカ人やユダヤ人などの新興の大実業家たち、いわゆるplutocratsによって強力に押し進められてゆく状況を、Jamesが物語の中心人物たち、MaggieとAmerigoの国際結婚の顛末を通していかに鮮明に描き出しているかを考察し、この研究成果も、学会での発表や学会誌への投稿を現在準備中である。
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Research Products
(1 results)