2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610591
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Research Institution | Tsuda Collage |
Principal Investigator |
島村 礼子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80015817)
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Keywords | 語彙化 / 句と語の境界 / イディオム |
Research Abstract |
今年度は、形態論における語彙化の概念について2つの研究を中心に行ったが、2つは共に語(word)と句(phrase)の区別に焦点を当てたものといえよう。1つは昨年度から今年度にかけて行ったもので、語彙化された句(例:after the party(mess),connect the dots(puzzle))の特徴を明らかにした。本研究者は以前から語彙化された句(lexicalized phrase)に関心をもっており、語彙化された句は語として再分析されたものであるという提案をすでにShimamura(1986)その他で行っているが、今回の研究でこのことをさらに精緻化し、また新たに3つの証拠を挙げて、語彙化された句(の少なくとも一部)はイディオム(idiom)と見なすべきであるという結論を得た。この研究は投稿の準備をすすめている。もう一つの研究は、複合名詞の内部に生起する「形容詞+名詞」の形(例:[small car]driver)の語と句の区別に関するもので、すでにShimamura(2001)で一応の結論を見たが、本研究では、英語と日本語に加えて中国語とオランダ語にも注目して、より一般性の高い結論を導くことができた。つまり、語彙化が進んでいないため語と句の間の中間的な性質をもつ「形容詞+名詞」の形は、Kageyama(2001)で提案されているWord Plusの形態範疇に属するということを主張し、さらに、英語やオランダ語のようにWord Plusが複合名詞の内部に生起するのを許す言語と、日本語と中国語のようにそれを許さない言語とがあるということを指摘した。この論文は平成15年中に出版予定であり、さらに詳しく綿密に検討したものを、平成15年7月にチェコで行われる国際言語学者会議で発表することになっている。
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Research Products
(1 results)