2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610612
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 第一教養部, 教授 (70205706)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 和之 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (00293118)
|
Keywords | 西洋美術 / 思想 / 欲望 / 表現 / 死 / 精神分析 / シュルレアリスム / 美学 |
Research Abstract |
平成十三年度は以下のように分担を決め、西洋芸術と思想の関係に関する調査・研究を行なった (酒井)二〇世紀前半までの時期について、主として美学・芸術史の観点から研究を進め、その一部は雑誌『大航海』2002年42号掲載の連載「絵画と思想」の第1回「レオナルド・ダ・ヴィンチ-夜明けの漂流者」(pp.24-39)に掲載した。また調査の一環として平成十三年十二月に短期の渡仏をおこない行い、パリの種々の美術館博物館図書館を訪れ貴重な資料を入手し大いに研究上の啓発をうけた。(原)二十世紀前半から現代までの時期について、主としてシュルレアリズムと精神分析の関係という観点から研究を進めた。平成十三年九月には短期で渡欧し、リンツ、ベネチアで開催された展覧会で、メディアアート、現代芸術の諸作品を実見しパリでは資料の収集を行い多くの成果を得た。この中で、シュルレアリズム美術で実現したと考えられる、視覚と美の乖離を更に厳密に規定する必要性が明らかになった。これとの関連で、視覚をさらに一般的な間主観性の枠組みのなかに置き直そうとする試みの例として、フロイトの精神分析理論を継承したジャック・ラカンによる1960年前後の議論を取り上げ、これを論文「瞬間・審級・執存」(未発表)の後半部分で論じた。また「芸術の精神分析」については、欲動と所謂「不気味なもの」のかかわりについて、フロイトのテキストに即して考察を進めた。 なお両者の研究の過程で、二〇世紀の前半に「死」についての考え方が、「欲望の美学」の中心概念と浮上してきた。平成十四年度は、これを中心に共同で作業を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)